【南北朝鮮関係】
盧武鉉政権は対北朝鮮政策として「平和・繁栄政策」を標榜している。これは、北朝鮮の核問題を解決し、朝鮮半島の「平和」と「安全」を確保した上で、南北間の和解と交流を進め、朝鮮半島の「繁栄」を目指すものであり、そのための原則として、〔1〕対話を通じた懸案解決、〔2〕相互信頼、互恵主義、〔3〕南北当事者原則に基づく円滑な国際協力、〔4〕国民参加拡大を掲げている。こうした「平和・繁栄政策」は、基本的に「確固たる安保体制を敷きつつ、南北間の和解・交流を積極的に進める」という金大中(キムデジュン)前政権の「包容政策」を受け継いだものと言える。
2003年は、北朝鮮の核問題をめぐる駆け引きが続いた1年であったが、南北間の対話は維持され、閣僚級会談が3回開催されたのをはじめとして、各種の協議が行われるとともに、南北間の交流や協力事業に進展が見られた。
南北間の鉄道と道路の連結は、連結工事着工式が2003年6月中旬に実施された。また、南北の軍事境界線に近い開城市に設置される開城工業地区も、2003年6月末に着工式を実施した。
金剛山観光事業でも、2003年9月より陸路を通じての観光が実施され、9月末には、第8回の離散家族の面会が金剛山で行われた。南北双方は、離散家族のための面会所を金剛山に建設することでも合意し、2005年末までには完工する予定となっている。
8月には、経済協力のための4つの合意書(二重課税防止、投資保障、精算決済、商事紛争仲裁)が発効し、両国間の経済協力を進展させる枠組みが整えられた。南北間の貿易は近年増加傾向にあり、2003年の交易額は7億ドルを超えた。これに加え、韓国政府は、米40万トンと肥料30万トンを北朝鮮に支援した。