【日朝関係】
日本と北朝鮮の間では、第二次世界大戦以降、不正常な関係が継続している。同時に、北朝鮮をめぐっては、拉致問題ならびに、核やミサイル問題をはじめとする安全保障上の問題等の諸懸案が存在している。日本の対北朝鮮政策の基本方針は、2002年9月17日の日朝首脳会談の際に両首脳により署名された日朝平壌宣言に基づき、これら諸懸案を解決し、北東アジア地域の平和と安定に資する形で、日朝国交正常化を実現することである。
日朝首脳会談、拉致被害者5名の帰国、日朝国交正常化交渉第12回本会談等の動きがあった2002年と比べると、2003年は日朝間に大きな動きは見られなかったが、8月の六者会合の際に日朝間で接触がなされ、日本側から被害者の家族の帰国と真相究明を強く求めたのに対し、北朝鮮代表団団長の金永日(キムヨンイル)外務次官からは、日朝平壌宣言に則り一つ一つ問題を解決していきたいとの回答があった。
2004年1月には、日本政府関係者が、北朝鮮当局に麻薬犯罪容疑で拘束された邦人男性及び亡命申請をしたとされる邦人女性との面会のため、平壌を訪問した。訪問の際、日本側より、拉致問題の解決についての日本政府の立場に言及し、そのための日朝政府間の話し合いを行うことを申し入れつつ、本件について今次訪朝団と北朝鮮政府関係者の間で協議を行うことを提案した。これに対し、北朝鮮は、そのような協議は本件訪朝団の目的とは異なるものであるとし、具体的な協議は行われなかったが、日本側の申入れは部内で然るべく報告すると述べた。
また、2月中旬には、日朝政府当局間のハイレベル協議が平壌において行われた。この協議において、日本側からは、8名の拉致被害者家族の無条件での早期帰国と10名の安否不明の被害者についての徹底した真相究明を強く求めた。日朝双方の主張は最後まで平行線をたどったが、政府間協議を継続することについては一致を見た。
2月下旬に開催された第二回六者会合の場においても、日本代表団より、冒頭基調演説において、拉致問題の解決の重要性を強く訴えた。また、この六者会合に際しては、日朝間の協議も行われた。拉致問題や核問題について具体的な成果を得るには至らなかったが、政府間協議の継続では一致した。
拉致問題に関しては、北朝鮮に残された家族の帰国をはじめ、1日も早い問題解決のため、これまで再三北朝鮮側に働きかけを行ってきている。政府としては、1日も早い問題解決のため、あらゆる機会を捉えて北朝鮮側の前向きかつ具体的な対応を求めてきている。
拉致問題に関連し、「よど号」ハイジャック犯については、日本は従来から北朝鮮にその身柄の引渡しを求めてきているが、「よど号」犯の元妻の証言等により、彼らが欧州における拉致事案に関与していたことが明らかとなった。2004年2月24日には、「よど号」グループメンバーの魚本(旧姓安部)公博容疑者の妻である魚本民子容疑者(旅券法違反で国際手配)が北朝鮮から帰国したことから、捜査当局において検挙し、拉致事案の全容解明に努めている。
日朝間の貿易量については、法執行の面で輸出入の際の検査を強化したこと等の影響もあってか、2003年は前年比約3割減となっている。