VI.アフリカ

 チルバ政権は、94年も、引き続き構造調整計画を推進し、インフレの鎮静化等経済の安定に功を奏したが、一般国民の実質的な生活水準は悪化した。また、政府指導部内の権力闘争の激化により、国民の間では現政権への失望感が広がっていた。このような状況の中で、カウンダ前大統領が9月、政界復帰宣言を行い、政府のみならず野党にも大きな衝撃を与えた。同前大統領は、91年の選挙で敗れたとはいえ、独立の父として一部国民の間では未だに根強い人気があり、96年の選挙にも影響を及ぼすものと考えられる。
 94年のザンビア外交のハイライトは、アンゴラの和平交渉がまとまり、11月、合意文書への署名式が行われたことである。ザンビア政府は交渉の場の提供のみならず、交渉の最終段階においてアンゴラ政府とUN-ITAの仲介役を務め、合意成立に貢献した。また、モザンビークやルワンダ等にPKO要員を派遣するなど、アフリカの和平と安定に寄与した。援助国との関係は、ザンビア政府部内の汚職、麻薬取引関与疑惑をめぐり悪化していたが、94年早々問題とされていた閣僚の追放により一応の決着をみた。しかしながら、援助国には、政府の構造調整計画への取組が不十分であるとの不満がある。

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