VI.アフリカ
ザイールでは、モブツ大統領の下、91年の大暴動以来の政治的混乱を収めるべく民主化措置の導入が行われているが、94年には、3月暫定憲法が採択され、6月には野党穏健派の推薦するケンゴ氏(元検事総長、元首相)が首相に選出された。今後、95年7月までに一連の選挙が実施される予定である。
経済面では、悪化の一途をたどり、GDPは80年の147.6億ドルから90年の95億ドルへ国民一人当たりGNPも611ドルから228ドルへと低下した。4桁に昇るインフレも依然続いている(93年、4651%)。8月には対ドル相場が97.3%切り下げられた。また、200万に上るルワンダ難民の流入も、経済・社会面に深刻な影響を与えている。
対外関係では、90年来、西側主要国は民主化を求め、援助を停止するなどモブツ大統領との冷たい関係は続いており、ルワンダ難民問題解決のため同大統領との接触が不可避となった後もこの関係は基本的に変わっていない。しかしながらケンゴ首相が9月に米、仏、ベルギーを訪問した際、各国は同政権に対する支持、経済再建援助、国際金融機関との関係再開についての支援を表明した。
日本は、91年の暴動を契機に閉鎖を余儀無くされた大使館を10月、再開した。9月-12月には、ルワンダ難民救援のため国際平和協力隊がザイール東部のゴマ市に派遣され、人道援助での活動を行ったが、同活動は、ザイール政府はもとよりゴマ市民より歓迎され、両国間の関係緊密化に貢献した。