VI.アフリカ
94年、エティオピアにおいては、新憲法が制定されたが、その制定手続をめぐり、反対派のメレス現政権に対する批判が高まった。反対派は、草案作成から制憲議会選挙運営まで一連の憲法制定手続を現政権が独占したと非難し、6月の制憲議会選挙をボイコットした。選挙結果は予想どおり現政府派がほぼ全議席を獲得し、94年10月に召集された制憲議会は、政府草案を新憲法として可決採択し、あわせて95年5月に予定される新憲法下初め国政選挙による新政府が成立するまで現政権の暫定統治期間を延長する旨決定した。
構造調整3年目に入った経済改革は、一応軌道に乗ったと評価された。農業不振で国内総生産の伸びは大幅に落ち込んだが、慎重な金融政策とかなりの外国援助に支えられて経済状況は改善し、製造業他のセクターも前年比で順調な伸びを示した。しかし、国民の大半が貧困状況にあることに変りはなく、天候不順による不作で緊急食糧援助を必要とする人口は約700万人に達した。
対外関係面では、経済社会の再建に取り組む政府にとって、近隣国との友好関係を維持すること、及び国際社会、とりわけ西側援助国と国際機関の理解と支援を取り付けることが外交の2本柱となっている。中でも、エリトリアの独立で内陸国となったエティオピアにとり、最も重要なエリトリアとの関係は極めて良好に推移している。