V.中近東
94年を通じ、オマーンは全体的に安定した政治情勢の中、初の女性議員選出など一層の民意反映に向けての進展が見られたが、一方で、8月には治安当局による秘密組織メンバーの大量検挙事件が公表され、反体制グループの存在が確認された。
経済面では、オマーンは石油部門に大幅に依存しており(GDPの40%
以上、政府の歳入の70%が石油収入)、オマーンにおける石油確認埋蔵
量が今後17年ないし18年と言われる中、非石油部門の開発が緊急課題となっている。
財政負担を軽減するための公益事業の民営化政策などを採っている。そのほか、輸出産業等育成のための外資導入政策、オマーン人に雇用を確保し外国人労働者を削減するオマーン人化政策等を打ち出している。
対外関係においては、オマーンは善隣友好・全方位外交を引き続き積極的に推進したが、特に、オマーンで開催された中東和平多国間協議水資源ワーキング・グループ会合に関連して、初めてイスラエル代表団がオマーンを公式に訪問、二国間の外交当局による公式の接触が開始され、12月にはラビン・イスラエル首相が短時間ではあるがオマーンを訪問するなど、対イスラエル関係での進展が注目された。
日本は、オマーンの最大の石油輸出先であり(約40%)、輸入先とし
てもアラブ首長国連邦に次いで第2位を占めており、貿易量は更に拡大
の傾向にある。11月には、皇太子同妃両殿下がオマーンを公式訪問された。