V.中近東

 93年末野党に議席を確保する目的で改正された新選挙法による大統領・国会選挙が3月に行われた。現職ベン・アリ大統領が有効投票数の99.91%を獲得し再選され、また国会選挙では与党立憲民主連合が前回以上に票を伸ばし、地方区の全144議席を獲得した。一方、新たに導入された全国区19議席は野党6党の内4党が分け合うことになり、テュニジア市場初めて国会で複数の政党が議席を持った。更に11月には野党議員が国会常設委員会入りし、また情報公開の一環として閣僚が月例記者会見を開催するなど、ベン・アリ政権は民主化プロセスを進展させている。
 経済面では、93年末の構造調整終了後も輸入・価格の段階的自由化の推進、為替市場の開設等の金融改革の実行、外国からの直接投資の誘致等、自由化・開放化を目指した経済政策を実施している。94年、産業の柱である製造業、観光業等の順調な伸びにより、GDP成長率は4.4%を維持し、まずまずの経済パフォーマンスを見せた。
 外交面では、4月のアラブ・マグレブ連合サミットでは改めて域内の結束を呼びかけ、5月のアフリカ統一機構(OAU)サミットの開催以降、OAU議長国として南・南協力、域内紛争の解決に意欲的に対応した。7月、パレスチナ統一機構本部がテュニスより暫定自治区に移転後も、引き続き中東和平プロセスに積極的に取り組んでおり、7月に多国間協議運営委員会を、また12月には同軍備管理・地域安全保障作業部会を開催した。また、ガザに連絡事務所を、テル・アビブに経済利益代表部を設置することを決定した。南アフリカとは5月に外交関係樹立した。

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