V.中近東

 内政面では、政府は、イスラエルとの和平交渉に対する国内的支持の確保に努め、6月にはマジャーリ首相は議会の一層の支持を確保すべく下院議員10名を入閣させた。また、8月には和平達成後の当国の経済投資環境の整備を目的とし、ハッサン皇太子を委員長とする「近代化・発展のための王立委員会」が設置された。経済面では、94年は5%台後半の実質成長を確保したと見られ、比較的好調な経済状況を示している。しかし、輸出産業の未成熟、国際収支の大幅赤字、対外債務の累積等の構造問題に関しては、大きな改善を見ていない。
 中東和平に関して、ジョルダンはパレスチナ・イスラエル交渉の進展を待つ状況が続いたが、5月にガザ・ジェリコで先行自治が開始されると、6月にイスラエルと直接交渉を推進することに合意した。両国は7月にワシントン宣言に署名して交戦状態に終止符を打ち、10月にはクリントン米大統領等立会いの下で国境地帯で平和条約に調印した。両国は11月に同条約批准書を交換するとともに同月外交関係を樹立し、12月に大使館を開設した。

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