V.中近東

 93年12月の諮問評議会設置をはじめ、ファハド国王の進める内政改革 措置が着実に進展を遂げる一方、94年9月のブライダにおけるイスラム 過激派による騒擾事件や、ロンドンにおける反政府組織の活動開始など、いわゆる原理主義への対応が急務となった。
 経済面では、石油価格が低迷する中で、94年度政府予算が20%削減さ れ、これまでは堅調と言われていた民間部門についても陰りが出てきた。そのため、経済活性化の方策として、国営企業の民営化と労働力のサウディ人化の必要性が、機会あるごとに国王をはじめとする政府首脳により強調された。
 対外関係では、94年は、イエメン内戦、イラク軍のクウェイト国境集結などサウディ・アラビアの安全保障に大きな影響のある出来事が相次いだ。中東和平プロセス支援との関連では、パレスチナ解放機構(PLO) との和解が達成されたほか、他の湾岸協力理事会(GCC)諸国とともに、第2次、3次のイスラエル・ボイコット撤廃を発表した。
 日本との関係では、4月の平岩会長を団長とする経団連代表団の来訪、11月の日・GCCビジネスマン会議及び日・サウディ民間合同委員会の際に、サウディ側より、日本の対サウディ投資、特に合弁企業の設立について、強い期待が表明された。11月には、皇太子同妃両殿下がサウディ・アラビアを公式訪問された。

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