V.中近東
アラブ首長国連邦の94年の内政は基本的に安定した推移を見せ,各首長国間の協力関係も着実に強化された。
経済面では、原油価格長期低迷にもかかわらず、非石油部門が順調に成長しており、経済全体としては安定的に推移している。
対外関係では5月のイエメン内戦時、アラブ首長国連邦が積極的に伸
介努力を行ったことが注目される。また、イランとの間のアブー・ムー
サ島及び大小トンブ島をめぐる帰属問題について、国際司法裁判所(ICJ)
に付託するとの提案を行い、近隣アラブ諸国及び一部西側諸国の支持を得たものの、イランは否定的な反応を示している。パレスチナ解放機構(PLO)、ジョルダン等湾岸戦争時にイラクを支援した国・組織との関係も正常化の方向に進んでいる。貿易面では、湾岸の商業拠点としての地位を利用して、欧米・アジア諸国のみならず、旧東欧諸国、旧ソ連諸国及び南アフリカ等との関係拡大が注目される。
日本との関係は、特に経済面を中心に極めて良好であり、94年においてもアラブ首長国連邦は日本への最大の原油供給国としての地位を維持したと推定される。また、日本は引き続き輸出入とも最大の貿易相手国になる見込みである。