IV.欧州
内政では、3月に独立後初めての最高会議(国会)選挙が行われ、新議会が形成された。10月には、経済改革の遅れや経済政策に関する閣内の不一致により総辞職したテレーシシェンコ内閣に代わって、第1副首相であったカジエゲルディンを首班に新内閣が形成された。
経済面では、93年、国際通貨基金(IMF)との間で体制移行ファシリ
ティー合意やスタンバイ取極に合意するなど、中央アジア諸国の中でも市場経済化に積極的な姿勢を示してきているが、旧ソ連経済体制が崩壊した後遺症は大きく、経済は依然として困難な状況にある。しかし、政府統計では年後半にインフレの鎮静化(6月45.9%、9月9.7%、11月14.2%)や通貨(テンゲ)の安定など明るい材料も見られた。外交面では、ナザルバーエフ大統領が、2月に米国を公式訪問し、
「民主的パートナーシップに関する憲章」に署名したことを皮切りに、
4月には李鵬中国首相の来訪、10月には同大統領のトルコ訪問など近隣
諸国との関係強化にも努めた。
また、カザフスタンは2月に核不拡散条約に非核兵器国として正式参
加し、7月には国際原子力機関(IAEA)との保障措置協定に署名する
など核不拡散の国際体制に積極的に参加している。
さらに、ナザルバーエフ大統領は旧ソ連共和国による「ユーラシア同盟構想」を提唱したほか、アジアの信頼醸成に関する第3回会合をアルマティで開催するなど、地域の安定に積極的なイニシアティヴを発揮している。
日本との関係では、4月、ナザルバーエフ大統領は日本を訪問し、共
同声明に署名するなど、両国関係発展の基礎を築いた。この訪問中、両国は、日本と旧ソ連との条約を継承することを確認する書簡を交換した。さらに、日本政府は500万ドルの追加的な人道支援及び約130億円の円借款の供与等を表明した。