IV.欧州

 アルバニアは、92年に戦後初の非共産主義政権が成立して以来、一定の政治的安定を享受している。11月に実施された憲法草案に関する国民投票は、与党側の準備不足もあり否決という結果に終わったものの、それが与党民主党の政権基盤を揺るがすには至っていない。
 鎖国政策から国際協調路線へと転じた外交は、旧ユーゴー紛争のバルカン半島全土への波及防止を目指す欧米諸国等の利益にも合致し、経済援助の獲得など良好な成果を収めている。一方、近隣諸国との関係では懸案を抱えており、特にアルバニア内ギリシャ系少数民族の地位をめぐるギリシャとの関係や、アルバニア人が多数居住しているコソヴォ自治州を有する新ユーゴーとの関係は、依然として緊張した状態にある。
 経済面では、未だ欧州一の最貧状態にあるが、相当額の援助を受けていることもあり、比較的順調である。94年の経済成長率は7%前後と予想されており、前年に85%であったインフレ率も、94年には25%程度に落ち着く見込みである。
 日本は5月にセレチ外相をアルバニアから初めて公式に訪日招待し た。

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