IV.欧州
内政面では、1月の大統領選挙で、野党社民党の候補で現職の外務次官のアハテイサーリが当選した。与党中央党の党首であるアホ首相は、野党出身の大統領の就任に際し内閣総辞職せず、支持率を下げてはいるが95年3月の総選挙までの任期は全うすると考えられる。
経済面では、輸出主導で経済は回復しつつあり、フィンランド大蔵省によれば94年、95年の実質経済成長率はそれぞれ3.5%、4.5%と予測されている。経常収支は、両年とも100億マルカ(約2,000億円)程度の黒字を計上するものと見込まれる。一方、失業率の減少は緩慢で、94年18.5%、95年16.5%と依然高率に留まるものと予測される。
対外関係では、西側との関係をますます重視するようになったが、ロシアとの関係に配慮する姿勢は維持している。3月にロシア首相がフィンランドを訪問し、また、5月にはフィンランド大統領、11月には外相がそれぞれロシアを訪問した。10月に実施されたEU加盟国民投票では加盟賛成が多数を占め、95年1月フィンランドはEUに加盟した。更に
11月には大統領が訪米し、米国との緊密な関係を維持するとの姿勢も示した。
また、安全保障面では、5月にNATOのPFP枠組文書に調印し、非
軍事面の主にPKO分野での協力を行うことになった。現在当国はEU加盟後WEUオブザーバーの地位を申請すべく検討中で、将来の安保政策を模索している。
日本との関係においては、経済面では貿易不均衡緩和が課題であるが、94年は両国修好75周年で、記念行事が両国で開催されるなど、友好促進
が進められた。また、10月にはフィンランド外相が外務省賓客として訪
日した。