IV.欧州
内政面では、議会制民主主義と市場経済が着実に定着、チェッコ政府は体制の「移行期」から今や「移行後」に入ったとの認識を示している。右派中道からなる連立政府によるマクロ経済改革と市場経済化は全体として順調に進み、94年経済はGDP(国内総生産)増加率2-3%(見通し)、インフレ、失業も許容範囲にとどまるなど堅調な動きを示しており、国内経済は上昇局面に入ったと見られている。経済面でのこのような好成果もあり、国内政局は安定し、大きな社会不安も見られない。
対外関係面では、94年においても、チェッコは外交の最優先課題である「欧州への復帰」へ向け、特に欧州連合(EU)、北大西洋条約機構
(NATO)加盟に備え準備が進められるなど対西側外交が活発であった。
これとともに国連平和維持活動(PKO)参加などを通じた国際社会への
貢献、経済関係の拡大を主たる目的とした欧米以外の諸国との関係強化など国際的地位と外交の幅を広げる外交活動も展開された。
日本との関係では、日本は政府レベルでは引き続き市場経済移行支援のための各種技協力及び資金協力を実施、民間レベルでは金融協力が活発であった。一方、本邦系企業の直接投資はチェッコ側の強い期待にもかかわらず欧米主要国と比べ件数、金額とも依然極めて低い水準にとどまっている。なお貿易は対前年比かなりの伸びが見込まれる。