III.中南米
デ・レオン大統領は、民主主義の確立、30余年にわたり内戦を繰り広げてきたゲリラとの和平合意の締結、人権の尊重、貧困との戦い等を旗印に政策運営を行っている。
94年1月には国民諮問の実施による憲法改正を実現し、8月の国会議
員選挙、10月の最高裁判所裁判官の改選を通して、国家諸権力の浄化を行い民主主義の発展のための新たな一歩を踏み出した。また、ゲリラとの和平合意締結に向けても、これまで包括人権合意(3月)、武力紛争により影響を受けた住民の再定住合意(6月)、包括人権合意に基づく「グァテマラ国連人権検証ミッション」の創設等和平の実現に向け、国際社会の支持を得つつ徐々にではあるが着実な成果を収めつつある。
しかしながら一方では、人権侵害、高い犯罪発生率、71%という絶対的貧困率等依然課題が山積されている。
経済面については昨年とほぼ同水準を保っている。インフレ率12%(93年は11.6%)、外貨準備高7.33億ドル(7.37億)、成長率4.0%(3.9%)を達成する見込みである。現在政府は本格的な税制改革に取り組んでいる。
対外関係では、中米統合の一層の推進、北米自由貿易協定(NAFTA)への参加の推進などをその政策として掲げている。米州サミットへの参加等を通じて、他の中米諸国との歩調を合わせた外交政策を展開してい
る。
日本との関係では、デ・レオン政権は日本の経済技術協力を高く評価しているほか、各種文化事業を通じ日本への一般的関心も高まりつつあり、両国の友好関係の一層の深化が期待されている。特に和平達成後には当国の近代化に向けた様々な改革が予想されるところ、この点での日本への期待も大きい。