III.中南米

 国内経済の立て直しを最大の目標とし、国の近代化を進めてきたドゥラン・バジェン政権は、原油価格の暴落による歳入の大幅減に対処するため、1月に最高71%に及ぶガソリン料金の値上げ、更に11月にも62%にも及ぶ軽油の値上げを実施した。また、外国企業による原油の開発、精製販売を可能とする新石油法、税制改正法を成立させた。政府による厳格な財政支出の削減努力及び94年中盤より原油価格が好転してきたこともあり、国内経済に明るい兆しが見え始め、94年10月にはインフレ率が23.83%まで低下している。また、対外債務問題についても、6月、パリ・クラブで債務繰延べ交渉を行い対外債務問題が解決に至った。一方、政府は国家近代化法に基づき国営企業の民営化に積極的に取り組んでいる。
 5月、中間選挙が行われ、与党共和連合党が後退し、キリスト教社会党、民衆大衆労働党他の野党議席数は、全65議席中58議席となった。反政府勢力の躍進に伴い、政府に対する政治的糾弾が行われ、9月以降には、外相、蔵相等4名の閣僚が国会喚問にて相次いで罷免され、あるいは辞任した。これにより現政権下における閣僚の更迭、辞任は、計17名となった。
 対外関係としては、最重要案件であるペルーとの国境問題について、10月の国連総会の場において、ローマ法王の介入による問題の解決というエクアドル政府の従来の主張を再確認した。
 日本との関係については、94年3月、公式実務訪問にてドゥラン・バ ジェン大統領がエクアドル大統領として初めて訪日し、首脳会談ほか、民間企業代表との会談も行われ、両国の友好関係促進並びに相互理解増進の上で画期的な出来事であった。

目次へ