III.中南米

 94年1月に、「道徳革命」、「人間的な政府」を標傍するレイナ政権がスタートした。レイナ大統領は、その立ち上がりの時期において動きが鈍く、国民の厳しい批判にさらされた。しかしながら、5月頃を節目として、軌道に乗る兆候を示し始め、徴兵制にかわる志願制兵役の導入、犯罪捜査の文民化実施(軍の一部である警察から捜査権限を分離)、不正の疑いを持たれた政府要人の罷免、前政権の大統領以下要人の告発など次々と着実な成果をあげている。
 経済面では、膨大な財政赤字、対外債務等前政権から大きな負の遺産を引き継いだ新政権は、まず国際金融機関のコンディショナリティーを満足させることを至上命題とし、9か月をかけて増税を盛り込んだ経済構造調整策をまとめ、12月にIMFの了承をとりつけた。94年の経済は未曾有の電力危機、バナナ輸出の低迷などが災いし1-2%のマイナス成長となることが確実である。95年につき政府は4%内外の成長を見込んでいるが、コーヒー価格は既に低下の兆しを示し始めており、不安要因がないわけではない。
 外交面では3月にGATT加盟、10月には悲願の国連安保理非常任理 事国(95年-96年任期)に当選したほか、テグシガルパにおいて「中米 の平和と開発のための国際会議」を開催し成功させるなど積極的な外交 を展開した。

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