III.中南米

 内政面では、民主主義の定着と強化を最大課題とするワスモシ政権は、表現の自由の保障、人権尊重に成果を見せたが、過去39年間における軍事政権の遺産である軍の影響力は未だ隠然としてあり、ワスモシ大統領は民主化を支持するマスコミ及び世論の理解を得つつ、国軍最高司令官として人事権を行使し、軍の影響力の排除に努めている。
 また、司法権の独立と中立維持のため、裁判官候補者を推薦する憲法 上の機関である司法官審議会の弁護士代表委員選挙方式をめぐり、国論 を二分する論議をよんだが、野党側の要求に対し与党側が譲歩し、10月 野党側の主張するドント方式で選挙が行われ、同審議会は正式に発足し た。この結果、95年にはパラグァイ司法権の刷新が行われる見込みであ る。
 こうした中、軍事政権下で抑圧されていた農民及び労働者が要求を掲げ、農民による示威行動(2月)、6年振りのゼネスト(5月)などが 行われたほか、土地無し農民による不法土地占拠事件が頻発した。経済 面では、インフレ率18.3%、経済成長率3.5%、財政の黒字、外貨準備 高の増加を実現させた。政府は赤字公営企業の民営化も積極的に推進し ている。
 対外関係では、軍事国家のパラグァイのイメージを改善し、新生民主国及び南米共同市場加盟国としてのメリットを訴えるため、積極的な外交を推し進め、大統領は中南米諸国はもとより、仏、ベルギー(欧州連合)、英国、スペイン、日本、メキシコ、米国を訪問した。
 11月ワスモシ大統領はパラグァイ大統領の公式訪問としては22年振りに日本を訪問し、友好的両国関係を確認した。

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