I.アジア及び大洋州
94年、ブルネイは国王親政の現体制の下で独立10周年を迎えたが、内政は引き続き平穏に推移し、また、国内総生産は、1人当たり約16,000米ドルの高水準にある。7月、「非常事態」が更に2年延長されたが、国民の間に不満は見られない。
石油、天然ガスは、輸出の97%、歳入の90%を占め、国家経済を支える中核となっているが、94年は石油部門の減収により、国内総生産は前年比ゼロ成長前後と見込まれている。財政収支は、7年連続赤字を記録しているが、数百億米ドル以上に達すると見られる多額の在外保有資産があり、その運用益による補填により国家財政は全体としてなお相当の余裕があるものと見られる。
対外関係では、英国とは防衛協定を結び、グルカ兵約1個大隊が駐留しているほか、シェル社との間で、石油、液化天然ガスの合弁事業を行っており、関係は引き続き緊密である。また、7月よりASEANの議長国として活動しているほか、アジア太平洋経済協力(APEC)、英連邦会議、イスラム機構会議(OIC)、非同盟会議にも参加している。
日本は、ブルネイの最大の貿易相手国で、ブルネイの貿易額全体の約48%を占め、原油の約3割、液化天然ガスのほぼ全生産量に当たる約550万トン(93年実績)を輸入している。経済協力は、専門家派遣、技術研修生受入れ(4月-12月の期間で19名)、青年招聘等90名の招待により人材育成に協力している。12月よりブルネイ航空が関西空港との間で週2便定期便を就航させており、日本・ブルネイ間の貿易、人的交流が一層増進されることが期待される。