2. 文化交流

(1) 概説

(イ) 理念

文化交流を通じ,異質な文化に対する寛容な心を培うことは,国際協調と世界平和の構築につながるものであり,また,多様な文化の相互交流がもたらす刺激は国際社会の発展の活力を生むものである。

我が国としては,我が国の国際的地位の向上に伴う近年の世界の対日関心の高まりに積極的に応えるとともに,世界の文化をより豊かなものにするため,その国力にふさわしい文化面での国際的貢献を図っていく必要がある。

また文化交流は,諸外国の対日理解を増進し各種摩擦の緩和に資するとともに,我が国の対外理解及び国際化を促進し,異文化との接触を通じ我が国の文化をさらに豊かなものに高める意義をもつ。

(ロ) 概況

こうした観点から我が国は,諸外国との文化協定等の締結,文化交流に関する協議開催等により交流の基盤を整備しつつ,世界に交流の輪を広げるための人物交流事業,高まる対日関心に積極的に応えるための文化紹介事業,及び世界の文化をより豊かにするための文化協力事業を積極的に展開している。

87年度においては,12月25日に日ソ文化協定が発効した外,5か国との間で文化交流に関する協議を行った。また,東欧・ユーゴー及び東南アジアへ文化使節団を派遣した。文化交流事業としては,西側先進諸国との経済摩擦等に対処し,相互理解を一層増進するため「対先進国招へい」事業を開始した外,JETプログラム(「語学指導等を行う外国青年招致事業」)の下で,米国,英国等から約850人の青年を招致するとともに,「世界スポーツ・コーチ・サミットIIを開催するなど各種活動を行った。さらに,日・タイ修好100周年記念行事等の大型文化行事への参加・協力が相次いだ。

政府ベースの国際文化交流実施機関である国際交流基金(当省所管の特殊法人)は,創立15周年を迎え,87年12月に「国際文化社会をめざして」のテーマの下に米,仏,マレイシアから専門家を招き国際シンポジウムを開催し,文化を軸とした国際社会のあり方等を探った。

なお,近年,民間や地方自治体の国際文化交流が一層活発になっており,政府としてもこれらの活動との連携・協力を図っている。

(2) 文化交流促進のための基盤整備

(イ) 文化協定・文化協議

我が国は,25か国と文化協定を,また,東欧諸国等8か国と文化取極を締結している。87年12月25日,日ソ文化協定の批准書の交換が東京にて行われ,同協定は同日発効した。

また,87年度においては,豪州,中国,エジプト,インドと文化交流に関する協議を実施した外,日米文化教育交流会議運営委員会が開催された。

(ロ) 文化使節団の派遣

外務省は,文化交流促進の方途を探るために文化使節団の派遣を行っているところ,87年度には東南アジア大型文化交流ミッション(11月,ASEAN各国)及び東欧・ユーゴー文化使節団(11~12月,ユーゴー・東独・ポーランド・ハンガリー)を派遣した。

(ハ) 国際交流減税

民間ベースの国際交流を促進するため,国際交流を主たる目的とする公益法人に対して企業及び個人が行う寄付等を免税扱いとする,いわゆる「国際交流減税」が,88年4月より実施されている。

(3) 文化交流事業(特記なき限り,87年度の数値)

外務省は,関連機関との密接な連携・協力の下に次のような事業を実施している。

(4) 国際交流基金による文化交流事業(特記なき限り,87年度の数値)

国際交流基金は,当省の監督及び協力の下に政府ベースの国際文化交流の中核的実施機関として次のような事業を実施している。

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