2. 地域問題

今日,世界の多くの地域において紛争や緊張関係あるいは不安定な情勢が依然として存在している。このような地域問題は,関係当事国の発展と開発の阻害要因であるのみならず,地域の安定を脅かし,ひいては世界の安定と繁栄にもかかわる重要な問題である。

地域問題は,70年代後半のソ連の第三世界への進出・介入に端を発する問題と,むしろ,当該地域の固有の歴史的,民族的,あるいは社会構造的な要素を主因とする紛争とに大別することも可能であるが,いずれの場合も,地域固有の問題や事情に基づきつつ,これに周辺国や大国の利害,更には東西関係の動向などが複雑に絡み合っている。

このような状況下で,最近,長らくの間大きな不安定要因となってきたアフガニスタン問題やイラン・イラク紛争につき,関係国や国連の積極的努力により解決に向けた動きがみられることは歓迎される。また,その他の地域問題についても,地域の自主的な動きが出ている他,当事者による問題解決のための努力が進められているところや,関係当事国や国連等による紛争解決へ向けての環境が醸成される方向にあるところもあり,今後の進展が望まれるところである。国際秩序を支える主要な担い手の一人となりつつある我が国としても,これら紛争の早期・平和的解決のため今後とも引き続き外交努力を重ねていかなければならない。

以下,代表的な地域問題に関し,最近の動きを紹介しつつ,我が国の立場・外交努力について概説する。

 

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