8.その他

(1)モンゴル

(a)内政・外交

85年は戦後40周年にあたり,「ファシズム,軍国主義打倒勝利」が年間を通じて喧伝されたが,政情は若干名の閣僚が高齢・病気を理由に交替したほかは,前書記長ツェデンバルの体制をそのまま受継いだバトムンフ書記長の下で安定裡に推移した。

8月,休暇のため訪ソしたバトムンフ書記長はゴルバチョフ書記長と会談し,西暦2000年に至る両国間経済・科学技術長期協力計画に署名し,ソ連との将来にわたる緊密な協力関係を確認した。

対中関係は,両国歌舞団による相互訪問(9月及び12月),モンゴル友好代表団の訪中(10月),「モ」中間航空路再開交渉の妥結(11月)等,実務面では若干の進展が見られた。

(b)経済

第7次5か年計画の最終年であった85年の経済実績は計画値を総体的には達成した。基幹産業である牧畜業は85年も不振であったが,穀物収穫高が88万9,400トンと史上最高を記録し,その他栽培農業も好調であったため,農牧業総生産全体では前年比12.5%増(計画12.0%増)であった。

工業総生産は前年比6.6%増(計画7.5%増)であり,国民所得の伸びは4.7%(計画6.0%)であった。

また,85年6月の第10同党中央委総会では,増加する人口に対処するため,西暦2000年に至る農牧業発展,食糧供給改善目標プログラムが採択された。

(c)我が国との関係

85年は対日戦勝40周年であったため,軍国主義復活論等,対日論調は厳しいものがあったが,報道関係者(7月),国立歌舞団(9月),対外経済関係国家委員会第1副議長一行(86年3月)の訪日,及び民謡団(9月),森山外務政務次官一行(9月)の訪「モ」等,人的交流が官民を問わず比較的盛んであった。

<要人往来>

<貿易関係>

 

<経済協力(政府開発援助)>

 

(2)香港

(a)政情

(イ)「香港問題に関する中英共同声明」は,84年12月26日北京において正式調印されたが,その後,中英両国政府の審議を経て,翌85年5月27日,北京において批准書の交換が行われ,同日をもって右共同声明が発効した。

本件共同声明における合意内容は,中国の提唱する「一国二制度」構想の下に,外交・防衛の両分野を除けば高度の自治を香港に付与(香港を「特別行政区」とし,現行の経済,法律,社会制度,生活様式等を97年以降も継続し,これを50年間変えないとの方針が根幹)することを基本とするもので,香港住民の大勢は,同合意に歓迎の意向を示した。

(ロ)中国は,1990年に,上記中英合意内容を盛り込んだ「香港特別行政区基本法」を公布する旨明らかにしており,85年4月,右基本法草案作成のための「基本法起草委員会」が設置された。

その後,これまで中国側が表明してきた作業スケジュールに沿って基本法制定の準備が進められている。同基本法は,97年以降の香港を律するいわゆる「小憲法」となるものだけに,これが具体的にいかなる内容を含むものになるかが香港住民の大きな関心事となっている。

(ハ)また,香港の主権移行を円滑に行うための措置として,合意発効と同時に,「中英合同連絡委員会」が設置された。同委員会は,これまでに,ロンドン,北京,香港において計3回開催され,97年以降の香港独自のADB及びGATTへの継続加盟問題,香港住民のパスポート,身分証の問題等に関する協議が順調に進められている。中英双方は,このほか香港に係わる国際的権利及び義務の問題等についても協議が行われている旨明らかにしている。

(ニ)香港においては,これまで総督の任命によっていた立法評議会議員の選出に,間接選挙制度が導入された。その結果,昨年11月,24名の間接選挙による非官職議員が誕生するなど政治制度の民主化が進む一方,香港政庁幹部の英国人から中国人職員への交替が行われるなど,97年までの過渡期における主権の移行準備が始まっている。

(b)経済

(イ)84年は,近年にない輸出好調に支えられ実質GDP成長率9.4%という高成長率を記録したが,香港政庁は,これを受けて,85年についても,年当初7%という成長見通しを発表した。しかし,内需の不振,地場輸出の予想外の不調等により,同年9月,4.5%へと下方修正した。

対外貿易は,地場輸出については,米国経済の成長率の鈍化等により,前年比5.8%減少となったが,再輸出は,前年に引き続き大幅増(26.1%)を記録した結果,輸出全体では,6.2%増となった。他方,輸入も伸び悩んだ(前年比3.6%増)ため,85年の貿易収支は,戦後初めて黒字を記録した。

(ロ)香港の中国向けの地場輸出(35%増),再輸出(64%増)はともに前年に続き好調に推移した。他方,中国側も,香港の既存の中国系企業が現地企業を買収,もしくは資本参加するなど活発な企業活動を行っている。

(c)我が国との関係

在留邦人は,短期滞在者を含めると,平均約1万3,000人と推定されており,日系企業は約850社以上となっている。

香港の全輸入額に占める日本のシェアは,中国に次いで第2位で26%となっており,我が国にとって香港は重要な輸出市場となっている。

香港の対日貿易インバランスは,依然縮小されておらず,香港側は,近年,香港製品の対日輸出促進に本腰を入れて取り組み始めている。

<貿易関係>

<民間投資>

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