2.大洋州地域

(1)アジア・太平洋地域は,近年,21世紀に向けて最も有望な地域の一つとして世界的に注目を浴びており,同地域の重要な一部を成す大洋州への関心も次第に高まってきている。我が国は,大洋州諸国との友好協力関係の増進に努めているが,85年においては,1月に中曽根内閣総理大臣がフィジー,パプア・ニューギニア,豪州及びニュー・ジーランドを公式訪問し,我が国とこれら諸国との関係の一層の強化に貢献した。

(2)大洋州諸国のうち,豪州及びニュー・ジーランドは,我が国と同じ先進国であり,我が国とは相互補完性を有する経済・貿易関係を軸に従来より良好な関係にあるが,最近はかかる経済・貿易関係にとどまらず,政治,文化,人的交流等幅広い分野においてもその関係が緊密化している。85年においては,豪州との間では第8回日豪閣僚委員会が開催されたほか,従来の各種協議に加えエネルギー及び南太平洋に関する協議がそれぞれ新設され,両国間の対話が深まった。また,我が国からの豪州訪問者が10万人を超え,豪州からの我が国への訪問者が6万人を超えるなど国民レベルでの交流も盛んになってきている。

ニュー・ジーランドとの間でも,ワーキング・ホリデー制度の実施,査証免除滞在期間の延長が新たに実施され関係緊密化が図られた。

(3)パプァ・ニューギニア,フィジーなど南太平洋の9つの島国は,目下積極的に国造りに取り組んでいるところ,最近これら諸国は,英国,豪州等の旧宗主国よりの援助依存体制からの脱却を図るため,アジア・太平洋地域の先進国である我が国との関係強化に強い期待を寄せている。我が国としても,これら諸国の経済発展に資すべく,従来より積極的に経済・技術協力を行ってきている。

85年においては,前述のとおり中曽根内閣総理大臣の初めての南太平洋島嶼国(パプア・ニューギニア及びフィジー)公式訪問が実現し,またこれら諸国からも要人訪日が相次ぎ,我が国とこれら諸国との関係は新しい展開を見るに至った。また,これら諸国を中心とした地域機関である南太平洋フォーラムの第16回年次会議(85年8月,クック諸島)においても,我が国との関係強化を訴える決議が採択された。今後,我が国とこれら南太平洋島興国との間に一層積極的なかつ総合的な協力関係を構築していくことが重要と考えられる。

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