3.OECDにおける援助関係活動
(1)OECD開発援助委員会(DAC:Development Assistance Committee)
(イ)貿易委員会及び経済政策委員会と並ぶOECD3大委員会の一つで,日本,米国,フランス等先進17か国及びEC委員会が加盟している主な活動は,援助政策等援助に関する諸問題についての討議,加盟国の援助実績統計の収集・分析(その概要はDAC議長報告書として毎年発表される)などである。
(ロ)DAC本会合
本会合はDACの活動の中心であり,84年4月~85年3月に討議されたテーマは,低所得国の工業開発・援助調整,食糧援助,人口問題,農村地域における基礎教育等多岐にわたるが,特にアフリカの食糧危機に対する国際社会の関心を反映して,「対アフリカ援助」に焦点が当てられた。さらに85年3月には,サハラ以南アフリカの開発を議題とする本会合も開催された。
(ハ)対日援助審査
加盟国は,その援助実績,援助政策に関し,2年に一度審査を受けることになっており,我が国の審査は,84年10月に実施された。本審査においては,我が国の近年のODAの拡充が高く評価されたが,他方依然GNP比(83年0.33%)がDAC平均(83年0.36%)以下であり,また質の面においてもいまだ十分改善されていない点が指摘された。
(ニ)第23回上級会合
年1回,閣僚を含む各国ハイレベルの援助関係者の出席を得て,特に重要な開発問題について討議する場であり,84年12月3~4日に開催された。議題は,援助調整,アフリカ問題,評価,混合借款の4つであったが,実際にはアフリカ問題一色と言ってもよい状況であった。我が国よりは,安倍外務大臣の「アフリカ支援緊急アピール」を紹介し,食糧関係援助のみならず,食糧の貯蔵,輸送等の分野での協力強化の必要性,及び緊急援助とともに中・長期的観点に立脚した対アフリカ食糧・農業関係援助を推進し,アフリカの自助努力を支援する必要性を主張し,これはプレス・コミュニケにおいても盛り込まれた。
なお,世銀よりは,今後のアフリカ援助については,とりあえず農業分野及びこれまでに実施したプロジェクトの維持・管理,リハビリテーションに重点をおくべきである旨の説明があり,かかる観点を踏まえた世銀の「サハラ以南アフリカのための共同行動計画」が支持された。
(ホ)混合借款(Associated Financing)問題
混合借款については貿易及び援助に対し歪曲効果があるのではないかとの認識が多くの国にあり,84年5月のOECD閣僚理事会によるマンデートを受けて,輸出信用アレンジメント会合とともに,DACにおいても検討が続けられた。(85年4月のOECD閣僚理事会においては,最低グラント・エレメントの20%から25%への引上げ(25%未満供与禁止),通報制度・協議手続の強化につき合意がみられ,引き続き検討が続けられることとされた。)
(2)OECD開発センター
(イ)主な活動は,開発問題の調査研究,OECD加盟国と途上国の研究機関の協力促進等である
(ロ)センターの活動計画等につき意見交換を行うため,諮問委員会(常駐大使レベル)及び非公式会合が開催された。また,85年4月には,フォーランド所長がオピニオン・リーダーとして訪日,関係者と意見交換を行った。