2.我が国と大洋州諸国との関係

(1)豪州

日豪関係は,各層にわたる緊密な対話を通じ貿易・経済面のみならず幅広い分野で二国間関係の進展が見られた。

ホーク政権は豪州を従来にも増してアジア・太平洋国家として位置付け,この観点からも対日関係重視の姿勢を明確にしてきているところ,ホーク首相は84年1月訪日し,中曽根総理大臣との間に個人的信頼関係を確立した。

さらに85年1月,中曽根総理大臣は大洋州諸国訪問の一環として訪豪し,ホーク首相との間で個人的信頼関係を深めた。また,中曽根総理大臣は,キャンベラのナショナル・プレス・クラブにおいて「新たな展望一アジア・太平洋新時代への日豪パートナーシップ」と題する演説を行い,日豪間のパートナーシップ強化に大きな弾みを与えた(資料編参照)。

日豪貿易,経済関係についても総じて順調に推移した。往復貿易額は米国をリード役とする世界的景気回復を反映して2年連続の減少から回復,過去最高を記録した(対前年比で対豪輸出が21.1%増,対豪輸入が9.8%増,往復で14.3%増)。他方,日豪間の輸出入バランスは,数年前までは圧倒的な日本の入超であったが,最近は入超幅が縮小してきている。このような状況下に,豪州は,日豪間の伝統的分野での対日貿易の維持を図りつつ,いわゆる「軽薄短小」に象徴される日本の産業構造の変化に対応した新しい輸出分野の開拓等にも力を入れており,日豪間でミッションの相互派遣が行われた。

(2)ニュー・ジーランド(NZ)

7月に誕生したロンギ新政権は,マルドゥーン前政権と同様,対日関係重視の姿勢を示してきており,8月に閣内ナンバー3のムーア外国貿易・市場開発大臣が公式訪問し,安倍外務大臣との会談を行ったほか,9月には,国連総会の際,安倍外務大臣とロンギ首相が会談し,また,11月にはニューデリーにおいて中曽根総理大臣とロンギ首相が会談した。さらに,85年1月には中曽根総理大臣及び安倍外務大臣がNZを公式訪問し,ロンギ首相と会談した。また84年10月には第5回高級事務レベル経済定期協議が行われるなど,緊密な協議が続けられた。

貿易関係も総じて順調で,84年には往復貿易額は20億9,800万米ドル(前年比10%増)で,なかんずく,輸出は対前年比20.8%増の伸長を見せた。

(3)パプア・ニューギニア(PNG)

84年の日・PNG関係は全般的に順調であったが,往復貿易額は対前年度比若干減少した(約8%)。

経済協力は技術協力分野を中心に進められた。85年1月の中曽根総理大臣のPNG訪問時,ソマレ首相との会談において「道路建設計画」に対する円借款供与等が表明された。

(4)フィジー

84年の日・フィジー関係は順調に推移したが,貿易面では前年同様フィジー側の大幅入超であった。

経済協力分野では,研修員受入れ,専門家派遣等の技術協力が拡大され,前年度開始された青年海外協力隊員も引き続き派遣された。また,水産資源調査,稲作研究等種々の協力が進められた。85年1月の中曽根総理大臣のフィジー訪問時,マラ首相との会談において看護学校建設及び南太平洋大学における「南太平洋人造り基金」設置のための協力が表明された。

(5)南太平洋地域

84年もパプァ・ニューギニア,フィジー以外の南太平洋島嶼国と我が国の関係は全般的に良好に推移した。経済協力については,島嶼諸国からの要請に応え,84年も漁業,教育等の分野を中心として資金協力及び技術協力を行った。

10月の第24回南太平洋委員会(SPC)会議には,我が国もオブザーバーとして参加し,島嶼国の開発ニーズの把握に努めるとともに,SPCを通じ域内各国に被益する各種協力を今後とも推進する方針を表明した。

<要人往来>

<貿易関係>

<民間投資>

<経済協力(政府開発援助)>

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