2. 我が国と中近東地域との関係

(1) 83年,我が国は中近東諸国との関係において,従来の経済・技術協力を通じての協力関係の増進,また人的交流・文化交流を通じての相互理解促進を図るのみならず,政治分野において従来以上の比重をもって積極的な対中東外交を推進した(第1部第3章「1983年の我が国の主要な外交活動,7.中近東地域」を参照)。

(2) 83年の我が国の中近東諸国との貿易(アフガニスタンを除く,北アフリカを含む)は,輸出が約179億ドル,輸入が約343億ドルで我が国の大幅な入超となっている。これは我が国が原油輸入量の約7割を中近東地域に依存している結果であり,世界貿易全体に占める比率で見ると,輸出12%,輸入24%と,特に輸入の対中近東依存度の高さが際立っている。他方,対前年度比で見ると,輸出は横ばい,輸入は11%減となっており,輸入の大幅な減少が目立つ。これは,第2次石油危機を契機として,我が国においても急激な石油離れが進展し,その結果中束地域からの原油輸入も相当程度減少したからである。

83年における我が国の中東地域からの原油輸入量は1億4,656万kl(約253万B/D)で,全輸入量の70.5%を占めている。また対前年比では3.3%の減少になっている。中東地域の中では,サウディ・アラビア(我が国輸入全体の28%)からの輸入量がずばぬけて大きく,これに,アラブ首長国連邦(15%),イラン(11%)が続いている。

(3) 中近東諸国との人的交流は83年度を通じ引き続き拡大した。我が国から,安倍外務大臣が8月にイラン,トルコ及びイラクを,また,山中通産大臣が4月から5月にかけ,クウェイト,アラブ首長国連邦をそれぞれ訪問した。

他方,中近東諸国からの要人の来日としては,4月にエジプトのムバラク大統領が国賓として来日したのをはじめとして,6月にイランのアルデビリ外務次官,10月にイランのタヘリ環境保護庁長官,11月にイラクのアリ貿易大臣がそれぞれ外務省賓客として来日した。さらに9月にはジョビアからフセイン国王が非公式に来日したほか,4月にはサウディ・アラルダンのナーゼル企画相の訪日を得て第4回日・サ合同委員会が開催された。このほかにも非公式ではあるが閣僚レベルの要人が頻繁に来日しており,人的交流の実を挙げている。

<要人往来>

<貿易関係>      (1983年,単位;百万ドル,()内は対前年比増減率%)

<民間投資>                     (単位:百万ドル)

<経済協力(政府開発援助)>         (1983年,単位:百万円,人)

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