2. 我が国と大洋州諸国との関係

(1) 豪州

日豪関係は,各層にわたる緊密な対話を通じ,貿易・経済面を中心としつつ幅広い分野で二国間関係の進展が見られた。

ホーク政権は,豪州を従来にも増してアジア・太平洋国家として位置付け,この観点からも対日関係重視の姿勢を明らかにしている。7月のヘイドン外相訪日,8月のボーエン副首相兼貿易相訪日に続き,84年1月末から2月初めにかけてのホーク首相の訪日は,このような対日関係重視の姿勢を具体的に示すものであり,特にホーク首相の訪日は,太平洋圏の重要性と日豪関係強化をうたった日豪プレス・ステートメントの発出,中曽根総理大臣との個人的信頼関係樹立等日豪関係の強化・推進に大きな効果があった。

貿易・経済関係も総じて順調であったが,往復貿易額は世界的な不況を反映して前年に引き続き減少した(対前年比で対豪輸出が6.6%減,対豪輸入が4.6%減,往復で5.4%減)。他方,日豪間の輸出入バランスは,数年前までは圧倒的な日本の入超であったが,最近は入超幅が縮小している。このような状況の下に豪州は,日豪間の伝統的分野での対日貿易の維持を図りつつ,いわゆる「軽薄短小」に象徴される日本の産業構造の変化に対応した新しい輸出分野の開拓等にも力を入れ始めている。

(2)ニュー・ジーランド(NZ)

3月にクーパー外相が我が国を公式訪問し,中曽根総理大臣及び安倍外務大臣との会談を行った。また,9月には第4回高級事務レベル経済定期協議が行われるなど,緊密な協議が続けられたほか,11月にはオタゴ及びワイカト両大学長が訪日するなど人的交流の面でも着実な発展を見た。

貿易関係も総じて順調で,83年には往復貿易額は18億9,000万ドル(対前年比6%増)となり,NZの輸出先として我が国は第1位となった。

(3)パブア・ニューギニア(PNG)

83年も日・PNG関係は全般的に順調に推移し,83年の往復貿易額は対前年度比12.1%増となった。

また,経済協力は技術協力の分野を中心に取り進められた。本邦企業の進出では一部円滑さを欠く面も見られた。

(4)フィジー

83年も日・フィジー関係は順調に推移したが,貿易面では前年同様フィジー側の大幅入超であった。

経済協力の分野では,82年8月の青年海外協力隊派遣取極に基づいて,83年7月,協力隊員2名が初めて派遣されたほか,10月末から約1か月半にわたり,同国の電気通信訓練所で,周辺島嶼国の研修員を含む第三国研修が実施される等,種々の協力が進められた。

(5)南太平洋地域

83年もバプア・ニューギニア,フィジー以外の南太平洋島嶼国と我が国の関係は全般的に良好に推移した。我が国は,島嶼国の開発のニーズを把握する等の目的を以って2月から3月にかけて,経済協力調査団を派遣したほか,島嶼諸国からの要請に応え,83年も漁業,教育等の分野を中心として無償資金協力及び技術協力を積極的に行った。

10月の第23回南太平洋委員会(SPC)会議には,我が国もオブザーバーとして参加し,島嶼諸国の開発のニーズの把握に努めるとともに,フィジーの首都スヴァ所在のSPC地域メディア・センターに対する機材供与の用意がある旨の意図表明を行った。

<要人往来>

<貿易関係>      (1983年,単位:百万ドル,()内は対前年比増加率%)

<民間投資>                     (単位:百万ドル)

<経済協力(政府開発援助)>         (1983年,単位:百万円,人)

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