8. アフリカ地域

(1) サハラ以南アフリカの独立国は,現在45か国を数え,国連加盟国の約3分の1を占めており,国際場裏で大きな影響力を持っている。また,アフリカは豊富な資源を持ち,世界経済に重要な役割を担っている。

アフリカ諸国のほとんどは60年以降に独立を達成したが,各国の最大の課題は国造りであり,我が国の国力増大に伴い,アフリカ諸国の我が国に対する関心が高まっており,アフリカ各国からの要人の来日がますます頻繁になるとともに,我が国の経済協力に対する期待も急速に増大してきている。

我が国は,相互依存関係の深まった今日の世界における国際的責務を果たすため,これら諸国との人物交流を促進して相互理解を深め,また,幅広い分野で経済技術協力を行うことによりアフリカ諸国の経済社会開発に寄与している。

(2) 人物交流の面では,ナイジェリア,ニジェール及びモザンビークのそれ

アフリカの干魃と食糧危機

(FAO資料による特に干魃被害の著しい24カ国)

ぞれ外務(協力)大臣を外務省賓客として迎えたほか,アフリカ諸国の15名の閣僚が相次いで我が国を訪れた。一方,我が国からは,83年3月に続き,84年2月~3月,皇太子同妃両殿下がセネガル及びザイールを御訪問になられ,7月には,石川外務政務次官がギニア,セネガル及びエティオピアほかを訪問した。

(3) 経済技術協力の分野では,83年の二国間政府開発援助(支出純額ベース)は2億6,141万ドル,そのうち無償資金協力は1億1,900万ドルであり,我が国の無償資金協力全体に占めるアフリカの割合は21.4%となっている。

(4) アフリカ諸国は,81年からの干魃,中でも83年後半の干魃により極めて深刻な食糧危機に直面している。特に今次干魃は,サヘル地域の西アフリカ諸国のみならず,南部アフリカ,束アフリカ諸国をも含むアフリカ全域に被害が及んでおり,国連食糧農業機関(FAO)等国際機関が援助を呼び掛ける等,国際的に大きな注目を集めた。

我が国は,アフリカの食糧問題に対して従来積極的に取り組んでおり,84年3月,特に大量の食糧不足に直面している5か国(モザンビーク・セネガル,エティオピア,ソマリア,ガーナ)に対し,総額200万ドルの緊急援助を行った。

(5) アフリカ諸国が一致して解決を求めている南部アフリカ問題(ナミビアの早期独立達成と南アフリカの人種差別政策の撤廃)については,我が国は,問題が公正かつ平和裏に解決されるよう,可能な範囲で積極的に協力を行うことを基本的立場としている。

ナミビア問題の解決は依然見通しが立たないものの,84年に入ってから南アフリカと近隣諸国の間で急速に緊張緩和への動きが見られ,これがナミビア問題の解決に好影響を与えることが期待される。

我が国は,ナミビア問題解決のために国連のナミビア独立支援グループが派遣される際には,民政部門に協力する用意がある旨明らかにしてきている。

また,南アフリカの人種差別政策については,我が国はこれに強く反対し,外交関係を持たないなど同国との関係を制限的なものとしている。

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