2. 大洋州地域

(1) アジア・太平洋地域は近年その経済発展,将来性を中心に世界各国の注目を集めている。その範囲自体必ずしも明確でなく,全体をまとめる確固とした機構や枠組みを持たないが,ESCAP,ASEAN拡大外相会議,南太平洋フォーラムなどの場や民間の場を通じて,域内外諸国による自由かつ開かれた協力の話合いが活発に行われた。

(2) 豪州及びニュー・ジーランドは,我が国と同じ先進民主主義国であるとともに,鉱物・エネルギー資源,農林水産品等の輸入と工業製品の輸出を中心に経済的に我が国と深い相互補完関係にあり,我が国との間に政治的にも経済的にも密接な関係を維持し,発展させてきている。

豪州では,3月にホーク労働党新政権が誕生し,その後ヘイドン外相,ボーエン副首相兼貿易相が相次いで訪日し,新政権との意思疎通が図られた。84年2月にはホーク首相が訪日し,中曽根総理大臣との間で太平洋圏の重要性を認識し日豪関係強化に合意するとともに,緊密な信頼関係を構築した。

ニュー・ジーランドからは,3月にクーパー外相が公式訪問し,安倍外務大臣との会談などを行った。

我が国と両国との関係の中心をなす貿易・経済関係が総じて順調であることに加え,我が国は,このような緊密な対話を通ずる意思疎通や人的交流,文化交流の促進を図り,貿易・経済関係に偏らない幅広い関係の増進に努めた。更に,アジアや,南太平洋地域を含めた太平洋地域の諸問題につき緊密な協議を行い,この地域の安定と繁栄に資するため協調を維持した。

(3) パプア・ニューギニア,フィジーなど9か国を数える南太平洋島嶼諸国は,自助努力による国造りに努めるとともに,南太平洋フォーラム(SPF)などの場を通じて経済・社会開発を主眼とした域内協力を推進している。

我が国は,これら諸国の自助努力に呼応して無償資金協力及び技術協力を中心とする経済協力を積極的に行っている。また,3月にトンガのトゥポウトア外務・国防大臣を我が国に迎えたのをはじめ,人的交流などを通じて各国との友好協力関係を増進し,南太平洋地域の安定と繁栄に寄与しており,今後とも強化していく考えである。

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