2.我が国と大洋州諸国との関係
(1)豪州
日豪関係は,各層にわたる緊密な対話を通じ,貿易・経済面を中心としつつ幅広い分野で二国間関係の進展が見られ,また,アジア・太平洋地域の諸問題についても緊密な協調が維持された。
対話という点では,5月にフレーザー首相が来日し,鈴木総理大臣との首脳会談ではヴェルサイユ・サミットを前にして国際経済問題を中心に意見交換が行われ,7月には第7回目豪閣僚委員会がキャンベラで開催され,豪側からはアンソニー副首相兼貿易資源相,ストリート外相はじめ5閣僚が,日本側からは櫻内外務大臣をはじめ4閣僚がそれぞれ出席し,二国間関係のみならず国際情勢をも含め幅広い分野での意見交換が行われた。また,議員交流を含め,要人の往来が活発に行われた。
貿易・経済関係も総じて順調であったが,往復貿易額は世界的な不況を反映して久々に減少した(対前年比で対豪輸出が4.1%減,対豪輸入が6.2%減,全体で5.4%減)。他方,日豪間の輸出入バランスは,数年前までは圧倒的な日本の入超であったが,最近は入超幅が縮小している。このほか,原子力協定改定協定が発効するなど,経済面でも日豪関係の深化と多様化が進められた。
また,80年末に発足したワーキング・ホリデー制度がおおむね順調に運用され,青少年交流が活発に行われたことも特記される。
(2)ニュー・ジーランド(NZ)
8月に櫻内外務大臣がNZを公式訪問し,マルドゥーン首相への表敬及びクーパー外相との会談を行った。83年3月にはクーパー外相が我が国を公式訪問し,中曽根総理大臣への表敬及び安倍外務大臣との会談を行った。また,7月には第3回高級事務レベル経済定期協議が行われるなど緊密な協議が維持されたほか,80年の両国間直行航空路開設以来,人的交流は82年度においても着実な増加が見られた。
貿易関係も総じて順調であったが,世界的不況を反映して往復貿易額はほぼ前年並みの約18億ドル(対前年比0.7%減)となった。
(3)パブア・ニューギニア(PNG)
82年においても日・PNG関係は全般的には順調に推移したものの,貿易面では国際市況の悪化を反映して銅,コプラ,木材などの対日輸出が伸びず,82年暦年の往復貿易額は対前年度比28.5%減となった。
また,経済協力は技術協力分野で取り進められた。本邦進出企業の面では課税面等で一部円滑さを欠く面も見られた。
(4)フィジー
7月,松永外務審議官がフィジーを,9月,ギォニバラビ=フィジー外務・観光大臣が我が国を相互訪問し,経済協力問題を中心に広く意見交換が行われ,両国間の友好関係が深められた。また,8月には青年海外協力隊派遣取極が締結されるなど技術協力が進められた。
(5)南太平洋地域
10月の第22回南太平洋委員会(SPC)会議には,我が国もオブザーバーとして参加し島嶼諸国の開発ニーズの把握に努めるとともに島嶼諸国参加者と意見交換を行った。
我が国は,島嶼諸国からの要請にこたえ,82年においても漁業,教育,医療などの分野を中心として無償資金協力及び技術協力を積極的に行った。
<要人往来>
<貿易関係>(1982年,単位:百万ドル,( )内は対前年比増加率%)
(出所:大蔵省通関統計)
<民間投資>(単位:百万ドル)
(届出ベース)
<経済協力(政府開発援助)>(1982年,単位:百万円,人)
(約束額ベース)(DAC実績ベース)