(3) 第57回OPEC総会コミュニケ(仮訳)

(1980年6月11日,アルジェ)

第57回OPEC総会は,1980年6月9日から11日までアルジェリアのアルジェにおいて開催された。アルジェリア民主人民共和国の大統領でありFLN党書記長であるチャドリ・ベンジェディド閣下が開会の挨拶を行った。総会は現在の議長であるヴェネズエラ石油鉱山大臣フンベルト・カルディロン・ベルディ博士閣下により正式に開会された。

総会は,カルディロン・ベルディ閣下が,その在任中機構に対して行った貢献に対して賛辞を表明した。

総会は全会一致でアルジェリア・エネルギー石油化学工業大臣であり同国代表団首席代表であるベルカセムナビ閣下を議長に選出した。またインドネシア鉱山エネルギー大臣であり同国代表団首席代表であるスブロト博士閣下が全会一致で副議長に選出された。

OPEC長期戦略のための行動計画の準備に関して総会は,サウディ・アラビア石油鉱物資源大臣であり長期戦略委員会議長であるアハメド・ザキ・ヤマニ閣下が,予定されているOPECの外務,大蔵及び石油大臣合同会合における検討のため,そうした行動計画のための勧告を行うよう委託した。この関連で総会は,第1回の上記合同会合が第2回OPEC加盟国首脳会議に向けて準備するために本年夏の終りに開催されるべきこと及び第2回合同会合は首脳会議の2~3日前に招集されるべきことを勧告した。

総会はOPEC通信社(OPECNA)の設立に関する決議を可決した。OPEC通信社は,理事会により提案されたごとくOPEC事務局の現在の組織内の特別のグループにおいて出来る限り早い時期に活動を開始しよう。

総会はイラク代表団から,1980年11月4日から6日までバグダッドにおいて開催される予定の第2回首脳会議のための準備状況につき報告を受けた。

総会は,第51回経済委員会の報告書を検討し,国際石油市場を安定化するためのOPEC加盟国による一層の努力として次の通り決定した。

(1) 標準原油の価格水準として1バーレル当たり32米ドルを上限に設定する。

(2) 油質及び地理的要因を勘案の上,上記32米ドルの標準原油価格シーリングに上乗せされる価格格差はいかなる場合においても1バーレル当たり5米ドルを超えてはならない。

(3) 本価格体系は,本年7月1日より適用され,今秋開催される3大臣の合同会議においてレビューされる。

今般の新価格体系の目的は需給の均衡を達成するにより産消双方に有害な現在の水準以上の備蓄積増しを回避することを狙ったものである。

総会は,炭化水素燃料に関する一貫したマーケティング政策を達成するため天然ガス価格を原油価格に合わせて設定するというOPEC加盟国の決定を繰り返した。従って,天然ガス輸入国は,原油と天然ガス価格の一致を天然ガス資源を経済的に開発するために必要なインセンティブと見做し,もって天然ガスが世界のエネルギー需要を充足する上で相当の貢献をなすようにすべきである。

総会は,事務局に対し,高等教育機関創設のためのフィージビリティ・スタディーを行うよう指示した。同高等教育機関の主要目的は,他の開発途上国が科学技術分野における質の高い人材育成を推進するに際し科学的かつ社会的に援助することである。同機関はOPEC加盟国により活動の方向性を与えられるとともに資金供与されるものであり,また研究開発を目的としたものである。

総会はアルジェリア民主人民共和国大統領閣下,政府及び国民に対し総会参加者に対して示された暖い歓迎と総会のための周到な準備につき深甚なる謝意を表明した。

総会は加盟国による批准後1980年7月11日に公表される諸決議を採択した。

次回通常総会は1980年12月15日月曜日にインドネシアのバリにおいて開催される。

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