(5) 対イラン追加経済措置についての外務大臣談話

(昭和55年5月19日)

1. イランの米大使館員人質事件については,政府は,事件発生以来半年余を経過した今日,イラン側により,人質拘束という重大な国際法違反の行為が続けられていることを深く遺憾とするものである。

2. 政府は,本問題の平和的解決のためにEC諸国と協調しつつ努力して行くという基本方針をとっており,4月22日のEC外相会議の決定においてEC諸国が直ちにとることとした一連の経済的及び非経済的措置に関して我が国としての措置をとった。

同決定に含まれているその他の措置についてはEC諸国のとる措置を参考にしつつ,我が国の具体的措置を検討することとして来た。今般ナポリで開かれたEC外相会議が,18日,イランにおいて依然人質解放に向けての決定的進展が得られていないことを認めざるをえないとの判断から,1月10日の国連安保理決議案にある諸措置をEC諸国が共同で定める条件及び態様に従って遅滞なく適用するとの決定を行った。我が国としても,同様の考え方から,前述の基本方針に基づいて所要の措置をとることとする。

3. 我が国は,本問題の平和的解決が何よりも重要であり,今後共EC諸国等と協調して,かかる目的達成のための努力を続けて行く所存である。また,国連を中心とする本問題解決のための国際的努力が速やかに実を結ぶことを強く期待する。

4. 我が国は,これまでイランとの間に緊密な友好関係を有してきており,今後共,長期的観点からこのような関係の維持を図っていくことを強く念願するものであるが,そのためにもイラン政府が事態の重大性を認識し,人質を1日も早く解放することを強く希望する。

(6) 対イラン経済措置についての官房長官談話

(昭和55年5月23日)

1. 本日,政府は,イランをめぐる現下の国際情勢にかんがみ,EC諸国と協調しつつ,昭和55年1月10日の国連安全保障理事会決議案の内容に沿い,所要の措置をとることについて閣議の了解を得るとともに,これに関連して輸出貿易管理令等の一部を改正することにつき閣議決定を行った。

2. 右輸出貿易管理令等の一部を改正する政令の要綱は別紙のとおりである。

3. 今回の経済措置を含め一連の措置は一時的な性格のものであり,我が国としては,国際社会の基本的秩序の維持及び我が国とイランとの従来よりの緊密な友好関係の維持のために,イランが人質を1日も早く解放することにより情勢が改善されて,かかる措置が不必要となることを念願するものである。

4. なお,我が国は,イランの米大使館人質問題が平和裡に解決されることが何よりも重要であると考えており,このために米国との連帯を保ちつつ今後ともEC諸国等と協調して,かかる目的達成のための努力を続けていく所存である。

(別紙)

輸出貿易管理令等の一部を改正する政令要綱

第1 イランを仕向地とする貨物の輸出について,通商産業大臣の承認を要すること等とすること。(輸出貿易管理令第1条及び第4条関係)

第2 イランを仕向地とする貨物に係る仲介貿易契約の締結について,通商産業大臣の許可を要すること等とすること。(輸入貿易管理令第21条関係)

第3 イランにおける事業に係る特定の役務提供契約の締結について,主務大臣の許可を要することとすること。(外国為替管理令第17条及び附則第8項から第12項まで関係)

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