2. わが国と大洋州諸国との関係
(1) 豪州
(イ) 80年1月に大平総理大臣が豪州を公式訪問し,首脳会談などを通じ80年代に向けての日豪友好協力関係の拡大及び強化が確認された。
また,7月にはフレーザー首相が故大平総理大臣の葬儀参列のため来日し,その機会に伊東総理大臣臨時代理と懇談し,両国関係の発展があらゆる分野で促進されることの必要性が改めて強調された。
(ロ) こうした両国首脳間の合意を踏まえて,日豪間航空低運賃制の導入,資源加工共同研究の進展,科学技術協力協定の署名(11月),ワーキング・ホリデーの実施(12月),オーストラリア国立大学(ANU)の日本研究センターに対する日本側からの拠出(政府,民間各100万豪ドル,81年3月)など日豪協力は着実な成果を示した。また,大平総理大臣訪豪の際わが国より環太平洋連帯構想を提唱したのに呼応して,9月には豪州国立大学でセミナーが開催され,同構想について検討された。
(ハ) 日豪間の主要閣僚の意見交換としては,国連総会の場を利用しての外相会談,ASEAN外相会議の際の外相会談(6月)のほか,81年1月には第6回日豪閣僚委員会が東京で開催された。
(ニ) 日豪経済関係は,80年においても良好に発展し,80年暦年における両国間の貿易額は往復で103億7,000万ドル(対前年比16.5%増)であり,わが国にとって豪州は第5位から第4位の貿易相手国となった。また,豪州にとってわが国は第1位の貿易相手国となっている。80年代の両国経済関係は,一般炭,天然ガス,ウランなど石油代替エネルギー資源の開発及び貿易において一層の拡大・発展が期待されるとの認識が高まり,これらの資源に関する長期契約や開発投資への参加などの具体的な動きが活発化した。また,80年には引続き日豪原子力協定(72年署名発効)の改定交渉が行われた。
(2) ニュー・ジーランド(NZ)
80年1月に大平総理大臣がNZを公式訪問し,首脳会談を通じ,貿易経済のほかにも政治及び文化の面における協力をも含む幅広い両国関係の一層の発展に努力していくことを約した。また,この訪問の折,両国外相により航空協定が署名され,7月には同協定に基づき航空路が開設され,双方を訪問する両国民の数は約50%増となった。経済面では,80年の両国往復貿易額は15億400万ドル(対前年比8.3%増)となっている。また上記首脳会談において両国政府間で高級事務レベル経済定期協議を設置することが合意され,その第1回会合が4月東京で開かれた。
(3) パプア・ニューギニア(PNG)
80年1月に大平総理大臣が現職総理大臣としては初めてPNGを訪問し,ソマレ首相との会談を通じ両国間の友好関係が深められた。
日・PNG間の貿易関係も順調に推移し,80年暦年の往復貿易額は対前年比約17%増で,わが国はPNGにとり第1位の貿易相手国となっている。経済協力については,80年8月に水力発電計画に対する円借款供与(51億2,200万円)に関する交換公文が交わされた。
(4)フィジー
80年5月にマラ首相がわが国を公式訪問し,大平総理大臣との会談などを通じて両国の友好協力関係が深められた。
80年10月に行われたフィジー独立10周年記念式典には,わが国から長谷川四郎衆議院議員が特派大使として出席し,両国の親善が深められた。
80年3月には日・フィジー航空協定が署名され,これに基づき7月には両国間に航空路が開設された。
更に,81年1月には東京にフィジー大使館が開設された。
(5) 南太平洋地域
80年7月のヴァヌアツ共和国の独立に際し,わが国は秋田大助特派大使を派遣した。
南太平洋地域全般との関係では,80年3月の太平洋島輝国会議(南太平洋サミット)にわが国も代表団を送り,島嶼諸国の将来について意見交換を行った。10月の第20回南太平洋委員会(SPC)会議にも,わが国はオブザーバーとして出席し,島嶼諸国と意見交換を行った。
わが国は,島嶼諸国の要請に応え,80年度も,対西サモア無償協力(栄養改善計画,移動図書館車贈与,漁港整備計画),対フィジー無償協力(電気通信機材,医療機材供与),対トンガ無償協力(小学校建設計画漁業振興計画),対ソロモン無償協力(漁業調査訓練計画),対トゥヴァル無償協力(漁業開発計画)などの経済協力を行った。
<要人往来>
<貿易関係>
(出所:大蔵省通関統計)
<民間投資>
<経済協力(政府開発援助)>