8. アフリカ地域
(1) サハラ以南のアフリカにおける独立国は45カ国を数えるに至り,国際社会において発言力を増すとともに,資源などの面で世界経済においても重要な役割を担うに至っている。他方,わが国の国力の増大に伴いアフリカ諸国のわが国に対する関心も高まりつつある。この結果,これら諸国の政府首脳を始めとする要人の訪日が激増するとともに,わが国の経済協力に対する期待も急速に増大してきている。
わが国は,増大しつつある国際的責任にこたえ,これら諸国の国造りのために幅広い分野において可能な限りの協力を行いつつ,これら諸国との友好親善関係を強化していくことが,ひいてはわが国の安全の確保にも資するものと考えている。
(2) 人物交流の面では,80年9月にザンビアのカウンダ大統領,81年3月にタンザニアのニエレレ大統領と,アフリカの有力な指導者を相次いで国賓としてわが国に迎え,相互理解と友好協力関係の増進に努めた。また,80年中にわが国を訪れたアフリカ諸国の大臣級の要人は32人を数えた。
(3) アフリカ諸国が一致して解決を求めている南部アフリカ問題(ローデシア及びナミビアの独立達成と南アフリカの人種差別政策の撤廃)に関しては,80年4月18日のジンバブエの独立により,その一部の解決を見ることとなった。しかし,ナミビア問題については,81年1月ジュネーヴで開かれた選挙実施前会議の失敗により進展を見なかった。わが国は人種差別に強く反対し,南部アフリカ地域の諸問題が公正かつ平和裏に解決されるよう可能な範囲で積極的に協力を行うことを基本的立場としており,南アとの関係を制限的なものとしている。
(4) 経済・技術協力の分野における協力については,80年には前年に引続き顕著な増大が見られた。すなわち,二国間政府開発援助(支出額ベース)は,79年の1億8,670万ドルから80年には,2億2,291万ドルに,そのうち特に無償資金協力については79年の4,630万ドルから,80年には,5,443万ドルヘと増大した。