2. 大洋州地域
(1) 豪州及びニュー・ジーランドは,わが国とともにアジア・太平洋地域に属する先進民主主義諸国であり,両国の鉱物及び農業資源のわが国への輸出並びに工業製品のわが国からの輸入という経済的相互補完性,更には両国近海でのわが国漁船の操業などを基礎として,わが国との間に政治的,経済的に密接な関係を維持し発展させてきている。
わが国は,両国との貿易・経済関係の重要性を十分認識しつつ,両国との二国間関係の緊密化及び多様化を進めてきており,更にアジア・太平洋地域の安定と繁栄のためには,両国との協力が重要であるとの観点から,両国との間に緊密な協調関係を発展させていく方針を有している。
豪州との関係では,80年1月に大平総理大臣が豪州を公式訪問し,フレーザー首相との首脳会談などを通じ両国間の友好協力関係の強化及び拡大がなされた。また,7月にはフレーザー首相が故大平総理大臣の葬儀参列のため来日した機会に伊東総理大臣臨時代理と懇談し,両国関係の発展が政治,経済,文化などあらゆる分野で促進されることの必要性が改めて強調された。
ニュー・ジーランドとの間では,80年1月の大平総理大臣の同国公式訪問の際,マルドゥーン首相との首脳会談などを通じ両国関係の緊密化が図られた。また,その折航空協定が署名された結果,7月には両国間に航空路が開設され,人的交流の増大により相互理解が一層深められつつある。
(2) 南太平洋島嶼地域においては,7月にヴァヌアツ(英仏共同統治下にあった旧ニュー・ヘブリデス)が独立し,パプア・ニューギニア,西サモア,ナウル,トンガ,フィジー,ソロモン諸島,トゥヴァル,キリバスに加え,独立国の数も9カ国となった。
これら島嶼国は,自助努力による国家建設に努めるとともに,南太平洋フォーラム(SPF)などの場を通じて域内協力を進めている。また,わが国からの経済協力への期待も大きい。
わが国は,これら島嶼国の経済・社会開発のための自助努力に呼応して経済協力を積極的に行い,南太平洋地域の安定と繁栄のために協力するとともに,人的交流などを通じ各国との友好協力関係の促進を図っている。
80年には,わが国はこれら島嶼国に対し技術協力及び無償援助を中心とする経済協力を進めた。80年1月には大平総理大臣が豪州,ニュー・ジーランド訪問の帰途パプア・ニューギニアを訪問し,また,5月にはマラ=フィジー首相及び9月にはトウプオラ西サモア首相が来日し,それぞれ首脳会談などを通じわが国との友好協力関係が深められた。
(3) また,前記大平総理訪豪の際には,フレーザー首相との間で,環太平洋連帯構想につき,「広範な地域的コンセンサスに基づいてこの構想を更に掘り下げて検討を行う意志」を表明し,これがきっかけともなって太平洋地域協力の気運が盛り上がり,80年9月の豪州国立大学主催によるセミナーの開催など関係各国の民間人を中心として活発な動きが見られた。