第7節 環 境 問 題

 

 環境汚染の問題は先進工業国共通の重大問題であるとともに,その生物的,経済的影響が全世界に及ぶことから,この分野での国際協力が不可欠となつている。このような認識の下に現在各種国際機関,2国間等の場で,情報交換,人的交流,研究の共同企画及び実施等緊密な協力が行われている。

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(1) 日米環境保護協力協定と第1回合同企画調整委員会

 75年8月5日に署名された「環境の保護の分野における協力に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定」に基づく第1回合同企画調整委員会が76年2月26,27日にワシントンにおいて開催された。

 同合同委員会には環境問題諮問委員会委員長ラッセル・ピーターソン博士が米国代表団長を勤め,城戸謙次環境庁事務次官が日本代表団長を勤めた。同委員会において前記2国間協定の実施に関する基本的な手続事項が討議され合意された。また,この2国間協定に基づいて現在両国が実施中の共同プロジェクトについて,見直しと評価が行われた。

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(2) OECDにおける日本の環境政策レヴィュー

(イ) 76年11月,OECD環境委員会による日木の環境政策分析会合が東京で開催された。会議にはOECD加盟国のうち17カ国及びEC並びにユーゴースラヴィアから,環境政策決定に責任を有する長官ないし局長レベルの代表約40名が参加し,エルダンOECD事務次長が議長を勤めた。

(ロ) OECDが個別加盟国の環境政策を検討するためにパリの本部を離れて会合を行うのは73年のスウェーデンに次いで2度目である。その目的はレヴュー対象国の環境政策の背景及び現状について他の国とも比較しつつ,できるだけ詳細な分析を行い,加盟国全体の環境政策を改善し,進展させるための有益かつ具体的な手懸りを得ようとするものである。特に今回わが国が対象国となつたのは,わが国がこれまで積極的な環境行政を展開し,いくつかの分野で成果をあげていることが注目されたためである。

(ハ) 今回の会合ではできるだけ正確に実情を把握するため,(a)基準の設定,(b)補償の支払い,(c)開発の立地,(d)公害防止コストの経済への影響の4つのテーマを設け,それに基づいて調査を進めるとともに,各国の代表はそれぞれのテーマに関連して,千葉,四日市,鹿島,神奈川を現地視察し,あわせて地方公共団体,産業界,住民代表等と直接に会合し,事情聴取を行つた。

(ニ) 今回のわが国の環境政策レヴューは,わが国を含む加盟国に有益な示唆を与えたものとして評価されているが,その具体的な結論については今後,OECD環境委員会において検討されることになつており,そこで得られた成果が加盟国の環境政策にどのように反映されていくか注目されるところである。

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