第7章 その他の活動
第1節 外交体制の整備充実
(1) 機構については,昭和51年度において在外公館実館3館(在カタル大使館,在ウジュン・パンダン総領事館,在ホラムシャハル総領事館)及び兼勤駐在2カ所(イエメン,南イエメン)を新設することとなつた。また本省関係については領事移住部に領事第2課を設置した。
(2) 定員関係については,本省18名(増員は19名であるが,沖縄海洋博日本政府代表を廃止する結果18名となる),在外142名(新設公館分6名,既設増強92名,他省よりの出向者13名,カンボディア,ベトナム両大使館からの振替31名)の計160名の増強(他に4~9月の間のみ調整定員として50名がある)をみることにしている(なお,計画削減は40名である)。
外務省における職員研修の制度は,職員が在外公館に勤務して外交領事事務に従事するため必要な外交上の基本的心得,在外公館の事務に必要な知識の習得,語学力の向上及びわが国国内事情,日本文化などについての一般的知識を深めさせることを目的としている。
75年度に行つた主な研修は次のとおりである。
(イ) 外務公務員採用上級試験合格職員25名に対しては,入省後人事院・総理府主催の国家公務員合同初任研修に参加せしめた後,研修所において3カ月間の研修を行ない,次で,本省各局課において1年間の実務経験及び語学研修を終了せしめたのち,海外における2~3年間の語学研修に派遣した。
(ロ) 外務公務員採用中級試験合格職員15名については,入省後研修所において3カ月間の研修を行い,次いで,本省各局課における1年間の実務経験及び語学研修を経たのち,海外における1~2年間の語学研修に派遣した。
また,外務省語学研修員試験合格職員26名についても前記中級職員と同様の国内研修,実務経験及び語学研修を終了せしめた後,海外における2~3年間の語学研修に派遣した。
(ハ) 外務省に出向のうえ在外公館に配置される他省庁職員82名に対し研修所において5カ月間の赴任前研修を実施した。
(ニ) 国連等国際機関派遣予定の他省庁職員9名に対し研修所において5カ月間の語学研修を実施した。
(ホ) 在外公館で官房事務を担当することを予定される本省職員に対し,電信,会計,文書,及び領事事務について,講習及び実習の事務研修を,また英,仏,西,独,中国の5外国語について語学研修を実施した。
(ヘ) 英,仏,独語地域の在外公館に配置され,官房事務を担当する一部職員に対して,6カ月間の語学研修を実施し,右以外の外国語を必要とする一部の在外公館職員に対しては,1~2年の特殊語学研修を実施した。
(ト) 在外公館に勤務する職員の夫人が直接間接に果たす役割の重要性にかんがみ,在外勤務予定者の夫人に対しその在勤中の夫人の役割を十分認識せしめることを主眼とした「夫人研修」及び「夫人語学研修」を実施することとしているが,75年度においては,前者については93名が,また後者については44名が研修を終了した。
(チ) なお,以上のほか,ハーバード大学国際問題研究所,英戦略研究所及びブルッキングス研究所における中間研修,各省庁主催の研修あるいはクエーカー外交官会議,EROPA外交官研修等外国諸団体主催の研修にも少数であるが職員を派遣した。
外交関係の事務が適正に実施されているかどうかは,内閣,国会,会計検査院などによつて常時管理が行なわれているが,外務省においても大臣官房を中心として自ら外交関係事務の管理を十分行うとともに特に在外公館については,随時外交問題に造詣の深い有識者を査察使として派遣し,在外公館の管理運営のみならず,事務処理状況の全般にわたり査察を実施している。
1975年度においては中南米地域並びにアジア地域にそれぞれ森前駐英大使および近藤元駐カナダ大使を査察使として派遣し,これら地域の在外公館の査察を実施した。