第4節 外国人に対する入国査証
通常外国人はわが国の在外公館で査証を取得しなければ,わが国への入国を認められない。査証を発給することは外務省の権限とされており,外務省は外交上の配慮および国内の政策上の諸要請を勘案して,必要に応じ国内諸官庁と協議の上,発給の可否を決める。
わが国は,国際的な人的交流を促進する見地から76年1月31日現在で43カ国との間に査証免除取極を結び,3カ月ないし6カ月(ニュー・ジーランドのみは30日間)の短期の滞在で,かつ報酬を得ることを目的とする活動に従事しない入国目的の外国人に対しては,査証を免除することとしている。これらの査証免除取極の対象となる者,並びに法務大臣から再入国許可を得て再入国しようとする者を除く外国人は,原則とし外国にあるわが国の大使館,総領事館あるいは領事館で,有効な旅券に査証(旅券に査証し得ない者については,査証にかわる渡航証明書)を受けていなければわが国に入国できないこととなつている。逆に査証を取得していても入国禁止事由があることが判明した場合には,結局わが国への上陸許可が得られないことがある。
75年(1月~12月)に,わが国在外公館で発給した査証の区分別件数および比率は,付表1のとおりである。
また,75年中の査証発給件数(446,009件)を地域別にみると,アジア地域が最も多く,全体の51%に当り,次いで北米地域の35%が続き,この両地域で全体の約86%を占めている。欧州地域は,査証免除取極国が多いので,入国者数の割には査証発給件数は少ない。
前述のほか35カ国との間に相互に査証手数料の免除,一部免除もしくは減額の約束をしており,さらに,カナダ,西ドイツ,アイスランド,アイルランド,メキシコ,スウェーデン,米国,ニュー・ジーランド,フランス,オーストラリアおよび英国との間に一定の資格を有する者につきそれぞれ1年~4年有効の数次査証を相互に発給することを約している。
このように,わが国が査証に関する取極を締結している国は51カ国(1地域を含む)に達している。