第3節 経 済 問 題

 

 

1. 第7回国連特別総会

 

 75年9月1日より16日まで国連本部で,第7回国連特別総会が開催された。国連は毎年秋に定期的に開催される通常総会とは別に,必要に応じて特別総会を開催するもので,今回は南北問題を討議するため,「開発と国際協力」をテーマとして,国際貿易,援助・通貨,工業化,科学・技術,食糧・農業,開発途上国間協力,経済・社会分野における国連機構改革の7項目について討議が行われた。この総会は,石油危機以降重要性を高めつつある南北問題の今後の動向を見きわめる意味からも,先進国,開発途上国ともにその成行きに大いに注目し,わが国も木村前外務大臣を首席代表とする代表団を派遣した。

(1) 討議の概要

 本総会の討議において特に問題となつた点は次の2点である。

(イ) 国 際 貿 易

 開発途上国はその多くが一次産品の輸出国であり,従来より貿易の分野において各種要求を行つているが,いくつかの構想等を掲げ,これら分野での対応策等の実現を先進国側に求めた。

 一次産品の価格と輸出所得の安定化については,開発途上国は,国際的緩衝在庫を設立すること,またその資金面での措置として共通基金を設けることを要求し,さらに先進国より輸入している工業製品価格の値上り幅に応じて一次産品輸出価格を引き上げること(価格インデクセーション)などを主張した。これに対し先進国側は,緩衝在庫の設立は莫大な資金を要し,また一次産品は各々特性があり,一律に考えることはできないとして,消極的な態度を示し,また価格インデクセーションについては,インフレをますます昂進させる危険があるので反対した。しかし先進国側も,開発途上国の輸出所得をある程度安定化する必要性を認識しており,討議の結果そのための措置を今後検討することとなつた。

 他方輸出の拡大に関し開発途上国は,関税・非関税障壁の軽減,撤廃を要求し,現在わが国を含め多くの先進国が行つている一般特恵関税制度の恒久化,1980年以降への延長が焦点となつたが,結局「一般特恵は1980年で終るべきではない」ということで双方が妥協した。

(ロ) 援   助

 貿易と並ぶ開発途上国の主要な要求は,援助に関するもので,政府開発援助(ODA)をGNPの0.7%まで拡大することを強く要求した。これに対し先進国側は不況による財政難により,ODAの拡大には強い難色を示したので,結局GNPの0.7%をODAとして援助に回わすとの目標達成のため,最善の努力を払うということで妥協した。

(2) 総会の特徴

 第7回国連特別総会の大きな特徴は,74年の第6回国連特別総会以来続いて来た南北間のイデオロギー的対立の様相が弱まり,南北間に現実的,協調的雰囲気が強まつたことである。このような南北間関係の変化の原因としては,先進国側,開発途上国側双方が,南北間の対立をこれ以上激化させることの悪影響を理解し,長期的視野にたつた南北間の協調の必要性を認識しはじめたことにあると考えられる。

 すなわち,開発途上国としては、従来のように「新国際経済秩序」樹立を中心としたイデオロギー的な主張を続けても,あまり具体的な成果が得られず,むしろ先進国側の態度の硬化を招き,かえつて援助が削減される惧れがあること,世界的な景気停滞の中で,一次産品の輸出の停滞等を通じ開発途上国の経済に厳しい影響を蒙り,先進国経済をはじめとする世界経済全体の拡大が自国経済の発展に不可欠であるとの認識が強まつたこと等が,その背景として考えられる。更にロメ協定などによるECの開発途上国に対する具体的協力姿勢,IMF・世銀を通じた開発途上国援助構想の検討など,先進国側が開発途上国の問題に,より積極的に取り組む姿勢を示したことも,開発途上国の姿勢の変化の一因となつていると思われる。この結果,開発途上国は会議開催に先立ち作成した討議文書の中でも,生産者同盟,天然資源に対する恒久主権など従来から南北間の根強い対立点となつている項目は記載せず,妥協的態度を示した。

 他方先進国側も,これ以上南北間の対立を激化させることは,世界の政治・経済関係に悪影響を及ぼすとの認識の下に,協調的な姿勢を示した。特に開発途上国からタカ派と見られていた米国は,市場原理などの原則的問題については従来からの態度を堅持しつつも,国際農業開発基金への拠出をはじめ,開発途上国の発展のため,数多くの具体的提案を行い,南北間の対話の雰囲気をつくりだすため大きな役割を果たしたと言える。

 しかしながら,この総会において示された協調的雰囲気は一般的傾向としてのものであつて,個々の具体的な問題に関しては今後の検討に委ねられている点に留意する必要があろう。

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2. 国連総会(第2委員会)

 

 75年9月下旬から約3カ月間開能された第30回国連総会第2委員会では,特に注目すべきものとして「第2次国連開発10年のための国際開発戦略期央レヴュー」,「多国籍企業等による腐敗行為に対する措置」等の下記の諸問題が審議された。

 第30回総会直前に開催された第7回国連特別総会において,南北間の主要経済問題が集中的に討議され,幅広い合意がみられたこともあり,本第2委員会では,先進国,開発途上国とも対話と協調の基調を維持しようとする気運がみられた。

(1) 第2次国連開発10年のための国際開発戦略の期央レヴュー

 この国際開発戦略とは,70年代の開発途上国の経済開発問題の目標と目的を定めるとともにこれを達成するための政策措置を規定するものであるが,この期央レヴュー作業が累次の非公式協議を通じ進められ,本件に関する決議案をコンセンサスで採択するよう努力が行われた。しかし,生産者同盟,天然資源恒久主権,人種差別の3点で各国の合意が得られないまま,12月11日,第2委員会において開発途上国側(G77)の原案を修正した決議案が米国の要求により表決に付され,賛成94,反対0,棄権7(わが国を含む)で採択された。なお,採択後,先進国側より主として上記問題点につき意見表明が行われた。

 注目すべき点としては,表決を要求した米国自身も反対投票せず棄権したにとどまり,また開発途上国側も,本国際開発戦略が開発問題の大綱であることから新国際経済秩序樹立に対する基本的立場は維持したものの,極力対決を回避しようとする慎重な配慮を示した点であつたといえる。

 なお,本決議により,1976年の第31回国連総会において国際開発戦略改訂問題を討議することとなり,このため,開発計画委員会,各専門機関が新しい開発目標及び目的についての勧告を提示することとなつた。

(2) 多国籍企業等による腐敗行為に対する措置

 イラン,リビアが中心となつて上程した多国籍企業(TNC)贈賄行為非難決議は,「TNCの本国が在外の自国民及び自国企業に対し厳しい措置をとる」との表現が入つていたため,先進国側より国内法の管轄外適用の問題を引きおこすとの主張が行われ,非公式協議が重ねられた結果,同個所は,「腐敗行為の予防,訴追にあたり本国,受入国両政府がそれぞれの国の管轄権の範囲内において協力する」と修正され,今後,本件を国連TNC委員会で検討する旨あわせ合意され,12月15日,コンセンサスで採択された。

(3) その他主要問題

 総会におけるフィリピンのマルコス大統領夫人の演説をうけて,総合的な国際倫理綱領をめざす国際経済開発規範の統合・発展に関する決議案がフィリピンより上程されたが,第31回第6委の独立議題とする旨の決定案としてコンセンサスで採択された。

 またブラジルが南北貿易交渉を律する新規範の作成を目的として提案した国際貿易に関する政府間特別委員会の設立に関する決議案は,先進国より,自由・無差別を標傍するガット体制に悪影響を及ぼす惧れがあるとして強く反発をうけ,結局,第31回総会に検討を延期する旨の決定案として12月15日,コンセンサスで採択された。

 第7回特別総会決議により設立された経済社会部門の国連改革アド・ホック委員会の第1回会合が本総会中に開催され,今後1カ年にわたる作業計画に関する報告書が提出され,コンセンサスでテーク・ノートされた。

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3. 経済社会理事会

 

 わが国は,74年秋の第29回国連総会における選挙で,77年末まで3年の任期で経済社会理事国に選出され,第58回(75年4月~5月),第59回(同年7月~8月)の両会期の審議に参加した。

 75年の経済社会理事会では,自然災害,運輸,社会開発,人権,麻薬,ザンビア援助,第7回国連特別総会の開催,第2次国連開発10年(UNDDII)の国際開発戦略の期央レヴューなどの諸問題が審議された。75年9月開催の第7回特別総会の議題については,(イ)国際貿易,(ロ)実物資源移転及び通貨改革,(ハ)科学技術,(ニ)工業化,(ホ)食糧・農業,(ヘ)経済・社会分野における国連機構改革の6項目をコンセンサスにて決定した。なお,経社理と並行して特別総会準備のための実質的話合いが開発途上国側(G77)と主要先進国との間で非公式の場で行われた。

 また75年はUNDDII期央レヴューの年に当り,第58回経社理の議題として取り上げられたが,その重要性に鑑み別途レヴュー委員会で審議が行われたところ,先進国側,開発途上国側ともに,その評価を異にするため実質的検討に入ることなく第59回経社理に持ち越された。しかし,同理事会においても各国が現状報告を行うにとどまつた。

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4. 国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)

 

(1) ESCAPは75年2月にニューデリーで第31回総会を開催したほか,社会開発,農業開発,産業住宅技術,天然資源,運輸通信,貿易の各常設委員会及び多くの専門的会合を開催し,これらの場で検討された各分野の事業を実施した。

(2) 第31回総会は,第6回国連特別総会をはじめとする一連のグローバルな会議のあとを受け,第2回UNIDO総会を直後に控えて開催されたものであり,前回総会で萠芽の見えはじめたESCAPにおける南北対立の気運が増大することが懸念されたが,結果的にはオペレーショナルな活動に重点を置き,特に農業開発を促進することにより工業化への基礎固めを行うという地道な活動の重要性が強調された。また,ESCAPが地域協力を推進していくにあたり,個々の専門分野の活動を踏まえた上での多角的かつ総合的アプローチを重視すべきことが強調された。更に,貧困大衆の生活水準の向上に焦点を当てるべきであるとの点が強調されたことは,同総会の特色として注目される。同総会にて採択されたニューデリー宣言は,食糧生産に優先度を置き,社会正義を伴つた経済成長の重要性を強調し,加盟国の自助努力と国際社会の協力の双方を訴えたものであり,上記の基調を反映したものとなつている。その他農業機械センター設立など6つの決議が採択された。

(3) 75年中に開催された社会開発,農発開発,産業住宅技術の3常設委員会はESCAP機構改革後はじめて開催されたものであり,今後の各分野の活動を方向づけるものとして意義があつたが,右3常設委員会の討議においては経済社会発展の阻害要因を地道な努力により除去していこうとする姿勢が共通して看取された。

(4) この1年間にわが国がESCAPの諸活動に対して行つた協力としては次のようなものがある。メコン河下流域調査調整委員会については専門家派遣及びナムグム第2期計画への円借款供与約束,アジア沿海鉱物資源共同探査調整委員会(CCOP)については,第12回会議を東京招請したほか,専門家派遣,資金拠出,要員訓練,アジアハイウェー計画については専門家派遣,台風委員会及びアジア鉄道網計画については調査団派遣を行い,また農業機械センター,鉱物資源センター,農業部強化資金,アジア開発研修所,アジア開発行政センター,アジア社会福祉開発訓練調査センター,技術訓練計画などに拠出を行つた。また,東京にあるアジア統計研修所には施設,職員役務の提供を行い,第2期計画に署名するとともに資金拠出を誓約した。

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5. 国連工業開発機関(UNIDO)

 

(1) 事業活動とわが国の協力状況

 UNIDOの主な活動内容は,セミナー,シンポジウム等の開催,開発途上国からの研修生の先進国内企業での研修,工業投資促進サービスの実施等である。わが国はUNIDOの事業計画,活動方針を決定する工業開発理事会の理事国(任期77年末まで)としてその活動に参画するとともに,UNIDOに対する協力として75年には「基礎化学の生産管理コース」「機械産業コース」「輸出産業育成コース」の企業内研修を実施した。また,75年及び76年の両年にわたり,ASEAN諸国を対象として,これら諸国の輸出産業振興のためのプロジェクトを実施している。

(2) 第2回UNIDO総会の開催

 75年3月,ペルーのリマにおいて第2回UNIDO総会が開催され,「工業開発と協力に関するリマ宣言と行動計画」(通称リマ宣言)が採択された。本総会においては,開発途上国における工業化問題というUNIDO自体の専管問題につきほとんど討議することなく,南北間経済問題全てを取り上げ,74年の第6回国連特別総会で採択の「新国際経済秩序の樹立に関する宣言及び行動計画」,第29回通常総会で採択された「諸国家間の経済権利義務憲章」のフォロ-アップの観を呈したことが際立つた特色であつた。リマ宣言の主な内容は,(イ)先進国産品の輸入価格の上昇に開発途上国一次産品輸出価格をリンクさせるようにすべきこと(価格インデクセーション),(ロ)天然資源恒久主権(国有化を含む),(ハ)生産者同盟の結成強化,(ニ)開発途上国工業生産高占有率の拡大,(ホ)UNIDOの専門機関昇格の勧告,(ヘ)工業開発基金の設立等である。なお本リマ宣言は投票に付され,賛成82,反対1(米のみ),棄権7(日,英,西独等)で採択された。(先進国側が特に受諾困難と思われる10のパラグラフにつぎ分割投票が行われ,わが国な含む先進諸国は,それぞれ反対又は棄権した。)

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6. 国連貿易開発会議(UNCTAD)

 

 わが国は,南北間等の対決を避け,対話と協調に基づき,開発途上国との協力関係の強化を図つていくとの方針の下に,UNCTAD諸会合に積極的に参加した。

(1) 一次産品関係

 74年4月の第6回国連特別総会において採択された「新国際経済秩序樹立に関する行動計画」において「一次産品総合計画」の必要性がうたわれた。これを受けてUNCTAD事務局は,75年初め同計画の内容につき検討結果を発表し,同年中に,第8回一次産品委員会(2月)及び2回の同再開会期(7月及び12月)において,同計画について検討が行われた。

 「総合計画」とは,コーヒー,銅,錫,天然ゴム,砂糖,茶等の開発途上国の輸出関心18品目に関し,緩衝在庫の設立,そのためのファイナンスを行う共通基金の設立,多角的輸出入約束,補償融資,市場アクセス等の諸要素の実現を通じ一次産品問題を総合的に検討せんとするものであり,76年5月の第4回のUNCTAD重要検討事項とされた。

(2) 製品関係

 75年6月の第7回製品委員会において開発途上国から提出された10の決議案のうち,国際繊維貿易(先進国は,開発途上国からの繊維輸出に影響のある関税,非関税障壁を一層軽減する),スタンドスティル(先進国は,開発途上国の輸出産品に対しスタンドスティルを遵守し,新たな関税,非関税措置の導入を差し控える),UNCTADと国連工業開発機開(UNIDO)の協力(工業開発と貿易は密接に関連しており,各々の分野でUNCTADとUNIDOの密接な協力を行う)等に関する5つの決議が成立した。残りの5つの決議案(工業再編成,調整援助措置,輸出補助金及び相殺関税,制限的商慣行,セーフガード)については,同委員会においては決着がつかず,75年8月の第15回貿易開発理事会の審議に委ねられたが,同理事会においては,調整援助措置(工業協力のための適当な措置の策定に関する検討をUNCTAD事務局長に要請する)に関する決議のみが採択されたにとどまつた。

(3) 特   恵

 76年1月の第7回特恵特別委員会において,開発途上国側より3つの決議案(特恵供与国に対する各々のスキームの改善要求,MSAC,後発開発途上国,内陸国及び島嶼国への特恵に関する特別な配慮の要求,並びに特恵に関する技術援助)が提出され,右決議案のうち特恵に関する技術援助に関する決議のみが採択された。

(4) 援 助 関 係

(イ) 75年10月に開催された第7回貿易外融資委員会においては,保険の分野では比較的順調かつ効率的に2つの決議案(海上貨物保険,保険教育)が採択された。しかし援助問題関係では,今次会議に開発途上国側(G77)が提出した5つの決議案のうち,わずかに輸出信用に関する決議案が大幅な修正のあと採択されたのみで,残り4つのうち3つの決議案(輸出所得補償,債務累積,資金の流れ)については決議案としては採択せず,その取扱いを含めフォロー・アップのための措置を簡単に規定した決定案を採択するというかたちで処理せざるを得なかつた(主要国通貨変動による損失の補償の決議案は次回まで審議を延期した)。

(ロ) 75年10月に開催された第3回UNCTAD債務累積問題会合においては,交渉の進展に応じて債務累積問題の分野における債権国側の優位性が明らかとなり,機構面において若干開発途上国側の面子を立てたほかは先進国側のペースで進んた。具体的には,G77側の求める債務救済措置のガイドラインないし一連の原則については作成不可能であり,過去の経験からある種の共通エレメントは考えられるが,これも個別ケース毎の考慮が必要であるとの前提の下に,5項目のエレメントの存在に合意した。

(5) 海 運 関 係

 75年11月に開催された第7回海運委員会において,開発途上国の港湾を中心に船混み問題が深刻化し,これら諸国の経済発展に重大な影響を与えているのでこの問題の解決策探求のための専門家会合を招集し,その勧告を受けてフォロー・アップ措置をとることにつき決定をみた。

(6) 技 術 援 助

 従来の技術移転政府専門家会合は,UNCTADの6番目の常設委員会に昇格し,75年11月にその第1回会合が開催された。また「技術移転コード」政府専門家会合が75年5月及び11月に,「技術移転における特許の役割」政府専門家会合が75年9月にそれぞれ開催された。右諸会合において,(イ)技術移転取引を国際的に規制するコード・オブ・コンダクトの作成(ロ)現行国際特許制度の改正,及び(ハ)開発途上国の科学技術能力の強化の諸事項が検討された。

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7. 国連開発計画(UNDP)

 

 UNDPは,開発途上国に対する投資前調査と技術援助を中心に援助活動を行つているが,年々その援助額を増大している。わが国の拠出額は75年には1,900万ドルに拡大され(74年1,600万ドル),米国,スウェーデン,オランダ,西独,英国,カナダに次ぎ拠出国として第8位を占めている。また,UNDPの管理下にある「天然資源探査のための国連回転基金」については350万ドルを拠出した。

 72年から採用している国別計画を中心とする援助計画方式に従い,75年1月の第20回管理理事会では4カ国,6月の第21回管理理事会では8カ国についての国別計画が各々承認された。

 現行5カ年計画(72~76年)におけるUNDPの支出予算総計(当初)は約19.6億ドルで,そのうち援助にあてられる額は約15.7億ドルであるが,近年の経済状勢から援助コスト上昇などのため予算を改訂しており,このため加盟国は拠出金の増加に努力している。またUNDPは77年から第2期5カ年計画に入ることもあり,第20回管理理事会で,新しい経済状勢に対応し更にUNDPの援助活動を強化・拡充する目的で新しいガイドラインとして"NEWDIMENSION"の決定をコンセンサスで行い,この決定は第30回国連総会でエンドースされた。75年末に至りUNDPは深刻な財政危機に陥り,各プロジェクトへの援助削減等の対応策の検討を行つている。

 なお,わが国はUNDPの管理理事国の地位にあり,現任期は78年末で終了する。

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