第7章 その他の外交機関の活動

 

第1節 外交体制の整備充実

 

1. 予    算

 

 昭和50年度外務省予算は,総額1,474億9,074万円で前年度当初予算1,250億71万円に比し,224億9,003万円の増,18.0%の伸びを示し,これが一般会計国家総予算額に占める割合は0.69%となつた。

 かかる予算の背景にある国際情勢及び対応策についての認識は次のとおりである。

 最近の国際情勢がますます流動的な様相を強めつつある上,エネルギー,食糧等国民生活に直結する問題が大きな外交課題となりつつあること,また,これに対応して外務省の職務と責任が急激に増大しつつある実情にかんがみ,今後ともわが国がその国際的地位にふさわしい役割を果し,また,わが国にとり望ましい国際環境の実現を図つていくため,開発途上国に対する経済協力の充実強化,流動する国際情勢に機動的に対処しうる外交実施体制の整備,国際理解の促進,対日イメージ向上のための広報文化活動の強化,海外子女教育の充実強化を中心とする在外邦人の生活環境のための諸施策に重点的に配慮を加え,必要な予算の確保に努めた。

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2. 機 構・定 員

 

(1) 機構については,昭和50年度において在外公館実館4館(在ギニア大使館,在上海総領事館,在アガナ総領事館,在マルセイユ総領事館)及び兼勤駐在2カ所(ジャマイカ,トリニダッド・トバゴ)を新設し,また本省関係については中近東アフリカ局に中近東第二課及び経済協力局に開発協力課を設置することとなつた。

(2) 定員関係については本省22,在外138(新設公館分16,既設増強104,各省よりの出向者18)の計160名の増強(他に4~9月の間のみ調整定員として50名がある)をみることとしている。(計画削減36名があるため純増は124名)

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3. 研修制度の実施状況

 

 外務省における職員研修の制度は,職員が在外公館に勤務して外交事務に従事するため必要な外交上の基本的心得及び在外公館の事務に必要な知識を習得させ,かつ,わが国内事情,日本文化などについての一般的知識を深めさせることを目的としている。

 74年度に行つた主な研修は次のとおりである。

(イ) 外務公務員採用上級試験合格職員に対しては,入省後人事院・総理府主催の国家公務員合同初任研修に参加せしめた後,研修所における3カ月間の国内研修に参加せしめ,次で,本省各局課において1年間の実務経験を終了せしめたのち,海外における2~3年間の研修に派遣した。

(ロ) 外務公務員採用中級試験合格職員については,入省後研修所における3カ月間の研修に参加せしめ,次いで,本省各局課における1年間の実務経験を経たのち海外における1年間の語学研修に派遣した。

 また,外務省語学研修員試験合格職員についても前記中級職員と同様の国内研修及び実務経験を終了せしめた後海外における2~3年間の語学研修を受けさせるため,それぞれの研修語の国に派遣した。

(ハ) 外務省に出向のうえ在外公館に配置予定の他省庁職員75名に対し研修所において5カ月間の赴任前研修を実施した。

(ニ) 国連等国際機関派遣予定の他省庁職員6名に対し研修所において5カ月間の語学研修を実施した。

(ホ) 在外公館に勤務する職員の夫人が直接,間接に果す役割の重要性にかんがみ,在外勤務予定者の夫人に対しその在勤中の夫人の役割を十分認識せしめることを主眼とした「夫人研修」及び「夫人語学研修」を実施することとしているが,74年度においては,前者については68名が,また後者については27名が研修を終了した。現在まで夫人研修終了者は554名,夫人語学研修終了者は134名に達している。

(ヘ) なお,以上のほか各省庁主催の研修あるいはEROPA外交官研修等外国諸団体主催の研修にも少数であるが職員を派遣している。

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4. 在外公館査察の実施

 

 外交関係の事務が適正に実施されているかどうかは,内閣,国会,会計検査院などによつて常時管理が行われているが,外務省においても大臣官房を中心として自ら外交関係事務の管理を十分行うとともにとくに在外公館については,随時外交問題に造詣の深い有識者を査察使として派遣し,在外公館の管理運営のみならず,事務処理状況の全般にわたり査察を実施している。

 1974年度においてはアジア・太平洋地域並びに中近東地域にそれぞれ島元駐英大使および牛場顧問を査察使として派遣し,これら地域の在外公館の査察を実施した。

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