1. 入国査証の概要
わが国は,74年12月31日現在で42カ国との間に査証免除取極を結び,3カ月ないし6カ月(ニュー・ジーランドのみは30日間)の短期の滞在で,かつ生業,職業に従事しない入国目的の外国人に対しては,査証を免除することとしている。これらの査証免除取極の対象となる者,並びに法務大臣から再入国許可を得て再入国しようとする者を除く外国人は,原則として外国にあるわが国の大使館,総領事館あるいは領事館で,有効な旅券にわが国に入国するための査証(旅券に査証し得ない者については,査証にかわる渡航証明書)を受けていなければ入国できないこととなつている。
74年(1月~12月)に,わが国在外公館で発給した査証の区分別件数及び比率は,付表1のとおりである。
また,71年以来漸増してきた査証発給数は,74年は世界経済の停滞の故か,僅かながら減少した。74年中の査証発給件数(410,303件)を地域別にみると,アジア地域が最も多く,全体の47%に当り,次いで北米地域の約40%が続き,この両地域で全体の約87%を占めている。欧州地域は,査証免除取極国が多いので,入国者数の割には査証発給件数は少ない。
前述のとおり,わが国は42カ国との間に査証免除に関する取極を結んでいるが,このほか34カ国との間に相互に査証手数料の免除,一部免除もしくは減額の約束をしており,さらに,カナダ,西ドイツ,アイスランド,アイルランド,メキシコ,スウェーデン及び英国との間にそれぞれ1年有効の,ニュー・ジーランドとの間に一部2年有効の,フランスとの間に一部4年または1年有効の,また,オーストラリア及び米国との間に一部4年有効の数次査証を相互に発給することを約している。このほか,ブルガリアとの間には大使およびその家族についてその在任中有効の数次査証発給について約している。このように,わが国が査証に関する取極を締結している国は50カ国(1地域を含む)に達している。