-その他の重要外交文書等-
5. その他の重要外交文書等
(1) キッシンジャー米大統領補佐官のAP年次午餐会における演説(新大西洋憲章)(仮訳)
(1973年4月23日 ニューヨーク・フォルドーフ・ アストリア・ホテルにおいて)
欧州の年
本年は欧州の年であるといわれてきているが,これは1972年また1969年には欧州の重要性が低かつたことを意味するものではない。
新しい時代
1973年が欧州の年であるのは,一世代前の政策決定により形成された時代が今や終りつつあるからである。これらの政策の成功は,新しいアプローチを必要とする新しい現実を生み出すに至つている。
―西欧が活力を取戻し,またその経済的統合への動きが歴史的成功をおさめていることは確固たる事実である。
―東西の戦略的軍事力の状況は,米国が優越していたのに対して,今や両陣営ほぼ均衡するに至り,それとともに両陣営共通の安全をもたらすために必要な諸条件についての新しい理解が必要とたつてきた。
―世界の他の地域の重要性が増大してきた。日本は主要な極(パワー・センター)の1つとして登場しており,多くの分野において諸問題についての「大西洋地域としての」解決は,それが有効であるためには日本を含むものでなければならない。
―今やわれわれは緊張緩和の時代にある。しかし,過去20年間の硬直した対立状態が解消されるにつれて,各国の主体性の新しい主張および各国間の相こくがみられるようになつてきている。
―世代前には予見されなかつた諸問題が生じ,このため新しいタイプの協力活動が必要となついる。工業化諸国へのエネルギー供給の確保はこの一例である。
このような事象により,西側陣営の心理的環境は劇的変化をとげ,西側の指導のステーツマンシップにとつて現在の最も深遠な課題となつている。欧州において戦争および戦争のもたらす混乱を身をもつて体験していない新しい世代は,安定は当然に存在するものと考えながら,かかる平和の実現を可能ならしめた団結の保持および平和の維持のために必要な努力を払つて行くことについての強い心構えを持つていない。米国においては,米国が数十年にわたつて全世界に広がる責務を荷つて来た結果,今や,米国が圧倒的に重大な責任を荷うとの前提に立つて全世界的かかわり合いを持ち続けることを好まない風潮が出てきており,東南アジアの戦争によりもたらされた挫折感は右の風潮を強めている。
このような過渡期には軋轢はつきものである。米国内には,欧州は自己の経済的利益を余りに一方的に追求しがちで,より広範な責任を無視しているとか,欧州は共通の防衛の公正な負担を荷つていないとかいう不満が出て来ている。欧州においては,米国は欧州を経済的に分断しようとしているとか,欧州を軍事的に見捨てようとしているとか,あるいは欧州を外交上つんぼ桟敷におこうとしているとかの不満が出て来ている。
われわれの直面している課題はかつて危険の認識を共にすることにより培われたわれわれの団結に対する新しい目的づけを,今や将来への積極的志向をともにすることにより行ない得るか否かである。
すなわち,1940年代および50年代の課題は経済復興と攻撃の危険に対する安全の保障であり,西側はこれに勇気と想像力をもつてあたつた。今日必要とされているのは,新しい平和を構築するにあたり大西洋関係をかつてと同様に力強いものとすることであり,このため以前に比べ危険に対処するよりもむしろ与えられた機会を利して行くことに意を配り,恐怖の意識よりも,目的の意識から着想を出して行くことが必要となつている。
大統領が西欧の各指導者と親しく直接に接触して行こうとしているのはこのような理由による。大統領は,英,伊,西独,仏の元首,NATO事務総長等の欧州の指導者との話し合いを通じて西側における新しい創造性の時代の基盤を築くことを目的としている。
大統領は大西洋の諸問題に包括的に対処して行くだろう。大西洋関係の政治,軍事, 経済の諸問題は現実の問題として互いに関連(リンク)しているのでありわれわれが好き好んでこれらを結びつけている訳ではなく,また一つの分野における問題を他の分野の問題との取引に使おうという戦術的考慮が働いている訳でもない。これら諸問題には,最高のレベルで取組まなければならない。
1972年に大統領は,恐怖と猜疑のもたらす重荷を軽減すべく,われわれの対立陣営との関係を変化せしめた。
1973年に,われわれは友邦諸国との共通の理想及び共通の目的に.活力を与えることにより,1972年と同様の歴史的業績をあげ得たとの満足感を味わい得るのである。
米国は,大西洋のパートナーに対し本年末大統領が訪欧するまでに将来の目標を設定する新大西洋憲章作成の作業を完了することを提案する。その青写真は:
―過去の虜囚となることなく経験を活かし,
―われわれの成功がもたらした諸問題に対処し,
―その進歩に日本も参加出来る新しい大西洋諸国の関係を作り出すものである。
われわれは欧州,カナダ,そして究極的には日本の友人達に対しこの努力に参加するよう呼びかける。
これが「欧州の年」の意味である。
大西洋関係の諸問題
大西洋関係の諸問題は現実的なものである。これら諸問題が生じてきた一因は1950年代および60年代に大西洋コミュニティーの組織化が,その共同の事業の種々の次元において進められたが,その態様が種々異なつていたことにある。
経済関係では,欧州共同体がその地域的性格を次第に強調するようになつて来た。他方,米国はより広範な国際貿易および通貨体制の一員として行動し,かかる体制に対する責任を果さねばならない。
集団防衛において,われわれは依然として団結と統合の原則に基づき組織されているが,周囲の戦略的状況は著しく異なつたものとなつてきている。
外交については頻繁に協議が行なわれているが,本質的には伝統的な民族国家(ネーション・ステート)により扱われている。米国の利害と責任は全世界に広がつている。他方,われわれの欧州の同盟諸国は地域的利害を持つており,これら2つの利害は必然的に対立するものではないが,新時代において自動的に一致するものでもない。
要するにわれわれは防衛においては統合された基盤に立ち,外交においては民族国家(ネーション・ステート)として,相互に地域単位でまた競争的要素をもつて接しているのである。数々の集団的機構が萌芽期にあつた時は,それらの活動の態様がたがいに相容れない可能性は問題とはならなかつた。しかし一世代にわたる発展を経て,われわれの盟邦諸国の比重と力が高まるにつれて,全体の構造の各部分が必ずしも調和しなかつたり,時にはたがいに障害となつたりするに至つている。
大西洋諸国は,それぞれの多様性をうまくまとめて行く方法を見出さなければならない。もはやすべてを包含する枠組みなしに,各国あるいは各地域がそれぞれの利益を利己的に追求して行くことは出来ない。各国あるいは各地域が自己の利益にたる時には,自立性を主張し,団結を呼びかける時には他の国あるいは地域の独立性を制限する意図を持つと言うようなことではわれわれの連帯は保ち得ない。
われわれは個々の利益と共通の利益との新たな均衡を見つけなければならない。われわれは各国民および各国議会を再び共同の事業に参画せしむるべく,安全保障の領域以外にも(共通の)利益および積極的価値を見つけ出して行かなければならない。
将来の課題
経 済
戦後の米国は,他のどの政策よりも一貫して欧州の団結を支持し,あらゆる機会にこれを奨励してきた。われわれは団結した欧州はより自主性の強いパートナーとなることを知つていた。
しかし,われわれは,欧州との共通の利益は米欧協力の長い歴史により当然保証されると考えていた訳であり,あるいはこの考え方は甘すぎたかも知れない。欧州の経済的団結に続いて政治的団結が達成され,団結した欧州が大西洋パートナーシップの下に米国と協力して行けば米国の国際的責務の多くが軽減されるとわれわれは期待していた。
このような期待の多くが実現されていないことは明らかである。
米国も欧州も,欧州の経済的統合により利益をえてきた。
欧州内の貿易拡大は欧州諸国の経済成長を刺激し,大西洋の両側の往復貿易拡大をもたらした。
しかし,欧州が経済的に成功し米国の援助の受け入れ国から,米国の強力な競争者へと発展したことにより,ある程度の摩擦が生じてきたことをわれわれは無視することは出来ない。国際通貨関係においては波瀾と対抗意識が見られてきた。
貿易においては,250百万人を擁する市場の持つ経済的重みのため他の国々はこの市場への輸出機会を保護する特別の措置を求めてきた。
欧州共同体および,欧州の他の地域,地中海ならびにアフリカにおいてかかる国が増えて来ており,これらを包含する閉鎖的貿易体制が形成される可能性があるが,これは米国およびこの体制から除外される他の国々を犠牲とするものと思われる。農業においては,米国は比較優位にあるが,欧州共同体の保護主義的政策が米国商品の対欧輸出機会を制限することとなる可能性をわれわれは特に憂慮している。
米国の国際収支赤字が慢性化して拡大しつつあり,また,国内において保護主義の圧力が出て来ている時に,今述べたような利害の相剋が生じて来ている。
経済問題について,時には些細な,また時には重大ないさかいが次第につみ重なつて行く状態に終止符を打ち,この代りに,協力的解決を見出して行くことへの決断が大西洋の両側において行なわれなければならない。
米国は欧州の統一を支持し続ける。われわれは,われわれがあれほど努力して建設を助けたものを破壊するつもりはない。欧州の統合は,それ自体が目的ではなく,両側陣営強化のための一手段であるとのわれわれの立場は従来一貫しており,この立場は今も不変である。われわれは,欧州の団結を,より大きな大西洋パートナシップの構成要素として支持し続けて行く。
本年,われわれは欧州および日本と包括的通商交渉を開始する。われわれは,また,通貨制度の改革努力を進めて,通貨制度が常に混乱にさらされることなく安定が促進されるようにする。通商および通貨関係において,新しい均衡が達成されなければならない。
われわれは,これらの交渉は積極的成果をあげて行くための歴史的機会であると考える。これらの交渉は何よりにも増して政治的意志の決断を必要とするものであるので,最高の政治的指導者達の参加を得なければならない。専門家にのみ任せておくと,諸国の経済的利害の不可避的な衝突が議論を支配することとたり,圧力団体および特定の利害の影響力が浸透してしまうだろう。そうなると,全体をまとめる方向感覚が失われてしまう。
米国は,欧州および日本の両方との間に開放され,かつ,均衡した貿易秩序を保持して行くことが米国に多大な政治的利益をもたらすことを認識し,これに見合つた広範な政治的アプローチをとつて行く所存である。これが大統領の通商法案および昨年のIMF総会における大統領演説の精神であり,通商および通貨問題に関する協議におけるわれわれの戦略はこの精神に則つて行くだろう。われわれは,これらの交渉は力の試金石ではなく,協力して行使される政治的指導力の試金石であると考えている。
防 衛
従来,大西洋の団結は防衛の分野において最も自然に達成されて来た。多年にわたつて,欧州に対する軍事的脅威は疑問の余地無く明らかであり,これに対処するために必要な諸措置について,大西洋の両側の諸国の間でおおよその合意が出来ており,米国の負う責任はその中でも最大かつ明白なものであつた。今日,われわれは集団防衛という目標については依然として意志の一致を見ているが,かかる団結を,戦略的条件が大幅に変化し,しかも交渉による兵力削減を通じでわれわれの安全を強化する新しい機会に恵まれている今の状況の下で維持して行くという新しい課題に直面している。1950年代および60年代には,西側の核の圧倒的優位は大量核報復戦略にほとんど全面的に依存することを可能ならしめたが,今やわれわれはかかる優位を保持していない。核の均衡という状況の下では,このような核報復戦略は双方の自殺行為を招くこととなるので,われわれの同盟は他の選択を持たなければならない。西欧において柔軟反応戦略により攻撃に対処する集団能力は,合理的戦略の中心となり,平和維持にとり枢要なものとなつて来た。この理由により,米国は欧州にかなりの規模の通常兵力を維持して来たし,NATOの同盟諸国は,それぞれ自身の軍事的組織の近代化および改善のための重要な努力を推進し始めたのである。
柔軟反応に必要な措置は複雑かつ高価なものである。柔軟性は新しい条件に敏感に適応し,変化する状況に反応して行くべく同盟諸国が継続的に協議して行くことを本来必要としている。そして,われわれは,われわれの戦略により定められる防衛態勢に肉付けをして行かなければならない。柔軟反応は,単に各国の国内的考慮の最小公約数的妥協の結果としての防衛態勢を包むスローガンにとどまつてはならず,われわれ自身によつても,また,潜在的な対立陣営によつても,信頼に足り,内容を持ち,かつ合理的な防衛態勢であると考えられるものでなければならない。
過去25年間にわたり欧州における安定を保障して来た軍事的均衡を維持して行くためには(大西洋)同盟として,このように今必要とされていることに直面して,われわれの防衛態勢について意志の一致をはかること以外の選択は与えられていない。緊張緩和の進行のため,兵力を一方的に削減する方が安全だとする議論が勢いを得ているため,この課題は一層困難なものとなつている。際限の無い経済的競争は集団防衛への衝動を弱め得る。西側同盟諸国のすべての政府は,それぞれの国民に1970年代の安全保障の現実を啓発するという大きな課題に直面している。
大統領は,私に,米国は大西洋防衛において依然として公正な負担を果して行く決意である旨言明するよう要請した。大統領は,米軍の欧州からの一方的撤退に断固として反対している。しかし,安全性の許容し得る範囲内の最小限の規模および費用で,負担を公正に分担する合理的防衛態勢を打ち出す義務をわれわれはそれぞれの国民に対して負つている。大統領は,1973年におけるわれわれの同盟諸国との対話の結果として,このような防衛態勢が生み出されなければならないと信じている。
これが達成された際には,必要な米軍兵力は,単に米国の核兵力使用を確保するための人質としてばかりではなく,西側諸国により合意された明確な共同防衛の構造の枢要な構成部分として,欧州に残留するであろう。また,このことにより,われわれの対立陣営も相互均衡兵力削減交渉(MBFR)に理性をもつてとりくむことができるようになろう。
ここ数週間のうちに,米国はNATOに対して,今年始まる相互均衡兵力削減交渉(MBFR)に対する米国自身の準備の成果を提示する予定である。われわれは,これが安全保障に関するより広範な対話を助けることとなることを希望している。われわれのアプローチは,米国の特別な利益の見地ではなく,より一般的な同盟関係の利益の見地に立つものである。われわれの立場は,米軍を結果のいかんにかかわらず撤退するための言い訳として兵力削減交渉にあたるのではないと言う大統領の考えを反映している。兵力削減のいかなる方式も,いかに国内的受けが良かつたり,政治的理由づけがあつたとしても,それが安全をそこなうものである限り擁護の余地はない。
防衛についての対話を進めるにあたつてのわれわれの目標は,新しい条件および有効な軍備制限がもたらすと期待される新しい可能性を考慮に入れた安全保障についての新たなコンセンサスの達成である。
外 交
われわれは東西外交において真に注目すべき時期に入つている。過去2年間に,ベルリンに関する協定,独ソ条約,SALT協定が結ばれ,欧州安全保障会議および相互均衡兵力削減(MBFR)に関する交渉が始められ,そして米ソ2国間関係の劇的な変化を含む東西陣営間の重要な一連の具体的2国間協定が結ばれて来た。これらの措置はそれぞればらばらにとられたのではなく,1969年に描かれた針路に従い,集団的努力により推進されて来たものである。われわれは緊張緩和を進めるにあたり,単に雰囲気を醸成するために交渉を行なうのではなく,具体的な問題について交渉を行なうべきこと,また譲歩は相互性をもつて行なわれなければならないことを強調して来た。われわれは,この基盤に立つて緊張緩和の政策を推進して行く考えである。
しかしながらかかる政策の成功自体がいろいろな問題を生み出してきた。超大国の外交が,伝統的同盟および友邦諸国の利益を犠牲にするのではないかとの不安感が高まつている。ところが,欧州のわれわれの友邦諸国の中には,米国が彼らの動機を信頼して来たのに対し,米国の動機については同様の信頼を置きたがらない国もあるし,また彼ら自身の政策を追求するにあつては,戦術上の考慮から柔軟な態度を見せて来ながら,米国に対しては同様に柔軟な態度をとりたがつていたいと思われる国もある。
このような事態は,われわれが同盟諸国とともに一連の共通の目標を明らかに打ち出すことの必要性を強調している。それが実現されれば,いくつかの同盟諸国がかかる目標をかなりの戦術的柔軟性をもつて追求して行くことが十分可能となろうし,またそれ が本当に望ましいこととなろう。
われわれはすべての政策について意見の一致を見る必要はない。世界の多くの地域, 特に欧州以外の国に対するわれわれのアプローチは異なつたものとなろう。しかしわれわれは共に何をなすべきか,および各々がとる自主的行動の範囲に課されるべき制限について,おたがいに了解に達しておくことを必要としている。
われわれは友邦諸国を犠牲としてまぼろしの安寧を購なうつもりはない。米国は他の諸国の利益を損なうような行動を意識してとるようなことは決してしない。しかし共通の利益の認識は自動的に出てくるものではなく皆が不断に考えて行かなければならないものである。われわれは緊張緩和の推進を約しているが,このことは同盟関係の確固たるまとまりを不可欠なものとすると同時に,その達成を一層困難にしている。われわれは緊張緩和への勢いが,共通の目標意識により持続され,慢然と逃避主義や自己満足に流れることのないように注意しなければならない。
米国の貢献
私が今,概略を説明した課題は,米国の作つた処方箋ではなく,創造性に富んだ共同の努力を呼びかけるものである。われわれの世代は,これから数十年間の国際関係の新しい構造を築いて行く歴史的機会を与えられている。このためには,大西洋パートナーシップに再び活力を与えることが,不可欠である。
米国自身このため貢献して行く用意がある:
―われわれは,欧州の団結を引続き支持する。われわれは,パートナーシップの原則に立つて,欧州の一層の団結のために譲歩を行なつて行くが,この譲歩に対し,相互性の精神をもつて欧州側からも譲歩が行なわれることを期待する。
―われわれは同盟諸国に対する崇高な約束から手を引くことはしない。われわれは,米軍兵力を維持し,欧州からの一方的撤退は行なわない。これに応えて各同盟国が共同防衛の努力の公正な負担をすることを期待する。
―われわれは,対立陣営との緊張緩和を,共通の利益のための具体的交渉に基づき引続き推進して行く。友邦諸国が建設的な東西の対話に参画することを歓迎する。
―われわれは,欧州あるいはアジアの友邦諸国の利益を意識的に損なうことは決してしない。これに応えて,友邦諸国も米国の利益および責任を真剣に考慮した政策をとることを期待する。
―われわれは,われわれの直面する諸問題について,協力して対処して行く用意がある。例えば,エネルギー問題は供給確保,石油収入の国際通貨秩序の安定に与える影響,共通の政治的・戦略的利益の性格および産油国と消費国の長期的関係等々の難しい問題を提起している。これは,競争の分野となつてしまう可能性があるが,われわれはこれを協力の分野として行かなければならない。
―欧州の自主性がそれ自体として目的とならないのと同様に,大西洋のコミュニティーも排他的なクラブではあり得ない。われわれの共同事業において日本は主要なパートナーとならなければならない。
われわれは,欧州の友邦諸国が同様な精神をもつて反応することを希望する。われわれは,過去数十年間の偉大な業績から学び得るのであり,また,過去のかかる業績に匹敵しひいてはこれをはるかに凌駕する機会にめぐまれている。これを達成することがわれわれの直面する課題である。そして,この達成により,1970年代に大西洋諸国はそれぞれの国民と平和への真の貢献をなし得るのである。