―その他の重要外交文書等―

 

(3)1970年NATO閣僚理事会(於ブラッセル)最終コミュニケ(要旨)

 

(1970年12月4日)

 

 1. 米大統領から他の加盟諸国の同様なアプローチを前提とし,その在欧兵力を維持改善し,東西の相互的行動として以外はこれを削減しないとの約束を受け,閣僚は深甚の満足を表明した。

 2. 閣僚はSALTの再開を歓迎し,早く欧州及び世界の平和と安全を強化する協定ができることを希望した。

 3. 閣僚は独・ソ条約の調印及び独・ポーランド条約のイニシアルを欧州デタントヘの寄与として歓迎し,また4カ国の権利と責任が影響を受けないとの説明に留意した。また,両独間の意見交換が真の交渉を準備することを希望した。

 4. ベルリン交渉の満足な結果なくしては東西関係の見通しは疑問となろう。 閣僚はベルリンヘの妨げられぬアクセス,ベルリン内の通行の改善及び西ベルリン・独間の現存するつながりのすべてのものによる尊重の重要性を強調した。

 5. 閣僚は地中海情勢に関する常設理事会の報告に留意し情勢が同盟に憂慮の念を生じ,その警戒を正当化することに留意した。閣僚は本件についての協議を継続し,常設理事会が情勢をレヴューし,次回閣僚理事会に報告することを要請した。

 6. 閣僚は欧州及び地中海におけるこれら情勢の発展が直接,間接に同盟に影響し,緊張緩和と平和の促進に影響することを強調した。

 7. 閣僚は同盟諸国のイニシアティブにより東西関係の重要分野にある進歩があつたことに留意したが,バイラテラルな接触及び現行の交渉においてもつと実質的な進歩がみられ,欧州の安全保障と協力の実質問題を扱う広汎な多角的接触の開始に積極的考慮を配りうるようになることを希望していた。閣僚はベルリン会談が満足な解決に達すれば,また他の現行会談がfavorablyに進行する限り,欧州の安全保障と協力に関する会議または一連の会議の開催時期を打診するためすべての関係政府との多角的接触に入る用意がある旨確認した。

 8. 常設理事会はかかる会議の成果および打診と準備の手続きの検討を継続する。同盟諸国政府はすべての関係諸国とバイラテラルな打診のための会議を精力的に行なう。

 9. 主権平等,政治的独立,領土保全及び政治社会制度に関係なき内政不干渉,不介入の原則が打診の対象に含まれるべきであり,これら原則の無条件の共通の理解と適用は武力不行使の取決に完全な意味を与えよう。

 10. 上記の接触は関係諸国間の文化,経済,技術,科学及び人間環境上のより密接な協力の方策を考慮する機会を与える。閣僚は人,思想,情報のより自由な動きがかかる協力発展の本質的要素であると再確認した。

 11. 閣僚は相互的,均衡的兵力削減につき常設理事会が研究を継続することを指令した。

 12. 総合防衛計画参加諸国閣僚は相互均衡兵力削減の重要性を再確認し,ワルシャワ条約諸国がこれに関する宣言に直接に答えず,欧州の外国軍削減討議の可能性を述べたことに留意した。

 13. 閣僚は関係諸国に対し,ローマ宣言を基礎として打診的話し合いを行なう招請をくり返し,駐留軍,自国軍双方の削減の計画の一部分として駐留軍の相互均衡削減を含む欧州中央地域における兵力削減の分野でのいろいろな可能性を検討する用意があることを示した。

 14. 常設理事会が生物化学兵器等軍縮問題を検討することを要請した。

 15. 閣僚はできれば1975年までに遅くとも70年代の終りまでに石油及び石油廃棄物の故意の放出の禁止を達成するため即時作業を開始すべしとの理事会勧告を支持した。

 16. Conference of national armament directorsとその下部機関の成果に関する報告を検討し,装備の共同体開発生産のため比較的少ない計画しか確立し得なかつたことに留意し,より大きい政治的支持が必要であることを認めた。

 17. 閣僚防衛計画委員会は70年代の防衛についての研究につき議論を集中し,付属のテキストの発表を承認した。

 18. 同閣僚防衛計画委員会は70年代のNATO安全保障は防衛とデタントよりなること,NATOの全般的軍事力は相互的削減によるほかは削減してはならないこと,また柔軟反応戦略は有効であることを確認し,海軍における著しい増強を含むソ連の軍事力強化に対応し,NATO軍の通常抑止手段の改善及び戦術・戦略核抑止手段維持が必要であることを確認した。

 19. 同閣僚委員会は在欧北米軍の共同防衛のための代替不可能な寄与としての重要性を強調し,欧州諸国によるNATO軍強化のための重要な決定(特別欧州防衛改善計画)を歓迎した。

 20. 同閣僚委員会は常設防衛計画委員会が上記研究に関連し適当な計画を作成するよう要請した。

 21. 同閣僚委員会は71年の加盟各国の兵力コミットメントに留意し,71-75年NATO5カ年計画を採択した。また次期5ヵ年計画作成の指針を与えた。

 22. 同閣僚委員会は地中海におけるソ連軍強化がNATO安全保障体制に次第に重大な脅威を与えるものと感じ,6月のブラッセル・コミュニケを参照しつつ,更に適切な措置の計画と実施に緊急な注意が払われるべき旨指令した。

 23. クライシス・マネージメントの分野で,同閣僚委員会はハイ・レベルの政治的協議及び作戦の指揮,統制に必要な通信設置の現状を検討し,その改良のためのいくつかの重要な措置を決定した。

 24. 同閣僚委員会は核計画グループがヴェニス会議で起草し,オタワ会議で完成した政策文書を採択した。

 

 

目次へ