-その他外交機関の活動-

 

第7章 その他外交機関の活動

 

第1節 外交体制の整備充実

 

1.国際資料部の調査部への改称

 

(イ)近時の国際情勢の趨勢にかんがみ,総合的な外交政策の企画立案機能のいつそうの強化を図るため,外務省設置法を改正し(1970年1月21日),国際資料部の名称をその実態に合わせて調査部と改めてこの機能を行なわせることとした。

(ロ)これに伴い同部の内部組織についても,外務省組織令を改正して,調査課を企画課に改め,「総合的な外交政策の企画立案」を所掌せしめると同時に,従来調査課で担当していた調査関係事務を分析課に移し,新しい企画課が政策企画立案機能の遂行にのみ専念できる体制を整えた。

 

2.在外公館設置状況

 

 1970年9月22日在イエメン大使館を,1971年1月1日軍縮委員会日本政府代表部及び在リオ・デ・ジャネイロ総領事館をそれぞれ開設した。また,1971年1月1日在ブラジル大使館は,リオ・デ・ジャネイロから新首都ブラジリアに移転した。

 これをもつて,1971年4月1日現在のわが国在外公館は,大使館118館(うち実館86,兼館32),政府代表部4館(国際連合,ジュネーヴ国際機関,軍縮委員会及び経済協力開発機構),総領事館43館,領事館10館総計175館となつている。

 

3.研修制度の改善及び実施状況

 

 外務省における職員研修の制度は,職員が在外公館に勤務して外交事務に従事するため必要な外交上の基本的心得及び在外公館の事務に必要な知識を習得させ,かつ,わが国内事情,日本文化などについての一般的知識を深めさせることを目的として研修を行なわしめている。1969年度においては研修の中心である外務省研修所の規則を改正し,従来の指導官に加えて専属の教官を任命しうることとするなど機構の強化と聴講制度を設ける等制度面の改正も行なつたが,1970年度においてもこれらの改正面を生かしつつ研修指導内容の向上に配慮している。1970年度に行なつた研修は次のとおりである。

(イ)外務省上級幹部に対し,外務大臣特命により外交に関する基本的かつ主要な問題についての調査研究を行なわせる上級幹部研究員制度に基づき1970年度は2名が研究を終了し現在まで合計9名の終了者を出している。

(ロ)外務公務員採用上級試験合格職員を研修所における国内研修に参加せしめ次いで,本省各局課において1年間の実務経験ののち海外における研修に派遣した。

(ハ)外務公務員採用中級試験合格職員についても語学力強化のため海外において6か月間の語学研修を行なわせた。

 なお,外務省語学研修員試験合格職員についても前年同様海外において2~3年間の語学研修を受けさせるためそれぞれの国に派遣した。

(ニ)在外公館に勤務する職員の夫人が直接,間接に果たす役割の重要性にかんがみ,在外勤務予定者の夫人に対しその在勤中の夫人の役割を十分認識せしめることを主眼とした「夫人研修」を実施することとしているが,1970年度においては9月,及び翌年2月に実施した。受講者は現在までに264名に達している。

 

4.在外公館の査察の実施

 

 外交関係の事務が適正に実施されているかどうかは,内閣,国会,会計検査院などによつて常時管理が行なわれているが,外務省においても大臣官房を中心として自ら外交関係事務の管理を十分行なうとともに特に在外公館については,随時外交問題に造詣の深い有識者を査察使として派遣し,在外公館の管理運営のみならず,事務処理状況の全般にわたり査察を実施している。

 1970年度においては,東欧及び西欧地域に内田藤雄元駐独大使を,また米国,カナダ地域に大野勝己元駐英大使をそれぞれ査察使として派遣し,これら地域の在外公館の査察を実施した。

 

5.外交問題に関する記録の整理・刊行および閲覧

 

 外務省には幕末開国以来の関係文書を含め我国の外交関係の記録が多数整理保存されており,1971年4月1日現在,記録ファイル総数は約75,000の冊数に達している。外務省ではこれら記録のうち重要なものを選定し系統的に配列編さんした「日本外交文書」をおおむね年間3~4冊宛刊行しており,1970年度においては大正8年(1919年)までの分を刊行した。これで「日本外交文書」の刊行総冊数は116巻となつた。

 また1971年春に東京都港区麻布狸穴に「外交史料館」が開館され,これらの出版物のもととなつた外務省記録の内外閲覧希望者への便宜供与が容易となつた。

 

 

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