―外国人に対する入国検査―
第2節 外国人に対する入国査証
1.入国査証の概要
わが国は,別項のとおり28ヵ国との間に査証相互免除取決めを結び,3ヵ月ないし6ヵ月の短期間(ニュージーランドのみは30日間)の観光,商談などで,生業につくことなく,わが国に入国しようとする外国人に対しては,査証を免除することとしている。これらの査証免除取決めの対象となる者,ならびに法務大臣から再入国許可を得て再入国しようとする者のほかは,外国人はすべて原則として外国にある日本の大使館,総領事館あるいは領事館において,有効な旅券にわが国に入国するための査証を受けていなければ,わが国に入国することはできないこととなつている。
1970年中(1~12月)に,わが在外公館において発給した査証の種類別件数および比率は,次のとおりである。
また,過去5年の地域別統計は別表のとおりであるが,その合計に明らかなように査証の発給件数は年をおつて増加している。これはわが国と諸外国との友好,通商経済関係が緊密化するにしたがつて,人的交流がますます盛んになりつつあることを如実に示すものといえよう。特に,1970年は万国博覧会が本邦で開催されたこともあつて査証件数は,著しく増加している。
さらに,1970年中の査証件数を地域別にみると,北米地域が最も多く,全体の半ば近い45%にわたる210,928件となつており,次いでアジア地域が40%を占め,185,614件であり,これら両地域の合計は,全体の85%を占めている。
わが国が査証相互免除の取決めを結んだ国の数は,1970年6月にニュー・ジーランドを加え,合計28ヵ国となつた。これらの国を取決め締結の順に示すと次のとおりである。
ドイツ,フランス,チュニジア,イタリア,オランダ,ギリシャ,ベルギー,デンマーク,スウェーデン,ノールウェイ,ルクセンブルグ,スイス,ドミニカ,トルコ,オーストリア,フィンランド,パキスタン,アルゼンティン,コロンビア,連合王国,カナダ,スペイン,アイルランド,アイスランド,ユーゴスラヴィア,サンマリノ,チリ,ニュー・ジーランド。
右のほか,わが国はインド,フィリピン,ソ連,米国,およびオーストラリアとの間に査証料の相互免除あるいは減額についての取決めを締結しており,中でも,米国およびオーストラリアとの間は相互に4年間有効の数次入国査証を,またニュー・ジーランドとの間には2年間有効の数次入国査証を発給することを約している。したがって査証に関する取決めの締結を行なつている国は33ヵ国に上っている。