―東欧地域―

 

第7節 東 欧 地 域

 

1. 概     観

 

 わが国と東欧諸国との関係は,経済関係を中心として発展を続けてきており,1970年度においては既に1969年度調印されたルーマニアおよびブルガリアとの間の通商航海条約が批准され発効の運びとなり経済関係の拡大の基盤がいっそう強化された。

 また,万博に正式参加したチェッコスロヴァキアおよびブルガリアからそれぞれスヴォボダ大統領およびジフコフ首相が政府賓客として来日し,万博ナショナルデーの式典に出席したほか,わが国要人との会談および産業・文化施設の視察等を行ない,友好親善関係強化に貢献した。

 わが国は,東欧諸国とは政治体制を異にしているが,地理的に遠隔な関係にあることでもあり,政治面においてはとりわけ問題もない。従つて,わが国とこれら諸国との関係は,今後とも経済分野を軸として発展を続けることが予想される。

 

2. 経済関係

 

 1970年における日本の対東欧(東独を含む)貿易は輸出1億4,679万ドル,輸入は1億1,410万ドルで,総額は2億6,090万ドルとなり,前年に比し,輸出は53%増加となつたのに対し,輸入は3%の減少となつたが,総額では22%の増加で,これまでの最高を記録した。また,日本の貿易総額に占める割合も1969年を上廻り0.7%となつた。

 貿易額による順位では,第1位はポーランドで,6,198万ドル,以下東独5,330万ドル,ユーゴースラヴィア4,305万ドル,ルーマニア3,043万ドル,ブルガリア3,010万ドル,チェッコスロヴァキア2,531万ドル,ハンガリー1,593万ドルとなつている。

 同年における輸出の伸びは,主として,東独,ポーランド,ブルガリア等各国における国内工業建設の拡大に伴う鋼材の買付が飛躍的に増加したほか,ブルガリア,ハンガリー,ユーゴースラヴィアへの自動車用タイヤ及び農薬等の化学品の輸出が伸びたことによるもので,他方輸入が不振におわつたのは,主として,東独からの銑鉄,チェッコスロヴァキアからの麦芽及び非鉄金属の輸入が増えた反面,長期契約によるポーランド原料炭の引取が失方の積出遅滞のため減少したのをはじめ,ルーマニアの銑鉄及びひまわりの種等の農産物,ハンガリー及びブルガリアのブロイラーがそれぞれ先方の輸出余力またはわが国国内生産の増加に伴う輸入需要の減退により買付が減少したことによるものである。

(1) 日本・ルーマニア通商航海条約の批准,発効

 1969年9月1日署名された「日本国とルーマニア社会主義共和国との間の通商航海条約」は,1970年6月19日ブカレストにおいて批准書の交換を下し,1970年7月19日正式に発効した。

 両国は,この条約で出入国,身体および財産の保護,強制軍事服役からの免除,内国課税,経済活動,出訴権,関税,海運などの事項について最恵国待遇の相互供与に合意している。

 ルーマニアは,わが国にとり東欧諸国中主要貿易相手国の一つであり,この条約の発効は,両国間の貿易経済関係のよりいつそうの発展に大きく寄与するものと期待される。

(2) 日本・ブルガリア通商航海条約の批准,発効

 1970年2月28日署名された「日本国とブルガリア人民共和国との間の通商航海条約」は,1970年7月6日東京において批准書の交換を下し,1970年8月5日正式に発効した。

 この条約は,日本・ルーマニア通商航海条約とほぼ同じ内容となつており,わが国とブルガリアの間の貿易経済関係のよりいつそうの発展のために持つ意義は大きいものと考えられる。

 

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