―国際的な各種交流の促進―

 

第6節 国際的な各種交流の促進

 

 わが国の経済規模は,国民総生産において世界第三位に達し,今後も更に拡大が予想されている。しかし,かかる経済発展を実現するためには,一方において貿易や投資の自由化を進め,わが国経済を開放体制に導く努力を進めるとともに,他方においてわが国国内経済体制の整備を進め,相互補完関係を推進して,わが国経済の国際化を図らなければならない。

 わが国経済が今日の発展を見たのは,自由無差別の原則に基づく国際貿易体制に負うところが少なくなく,国際的経済交流によつてわが国が裨益した面も大きいことにかんがみ,貿易や資本の自由化を推進することは,わが国にとつて特に急務である。かかる観点から政府としては,1971年秋までには残存輸入制限を西欧諸国なみの水準にまで緩和するとともに,資本自由化についても一段とこれを促進する方針を固めており,今後も更に自由化の推進を図る予定である。また,近年の国際収支の黒字基調,外貨準備の増加等を背景に,わが国の役割に対する諸外国の期待と要請が高まつていることにかんがみ,今後ともいつそうの努力を傾けて,国際経済体制の基本的枠組みの維持発展と世界貿易の拡大に努めなければならない。

 海洋開発,宇宙開発,原子力平和利用等をはじめ,各種の産業技術の交流・促進のための国際協力は,今や時代の要請ともなっており,また環境問題,都市問題,教育問題その他広く現代社会の諸問題と呼ばれる分野についても,国際協力の必要はますます高まりつつある。わが国は国連,OECDの場を通じ,また諸外国との二国間協力により,このような国際的努力に積極的に参加して行く方針である。

 更に,近年わが国の国際交流が盛んとなるに伴い,海外の世論に対して平和国家を志向するわが国についての正しい理解を得るための方策が,ますます必要となつているので,政府としても今後の広報活動にいつそうの努力を傾ける方針である。また,諸国間の文化交流は相互理解と友好関係を増進するものであるので,わが国における諸般の外国研究をいつそう促進することと並んで日本文化の紹介,アジア地域等に対する教育協力,留学生受入体制の整備など,知的及び人的交流のための諸施策を拡充していかなければならない。

 

 

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