―国連の強化と軍縮外交の推進―
第4節 国連の強化と軍縮外交の推進
国際連合は1970年をもつて,創立25周年を迎えた。わが国は外交方針の重要な柱の一つとして,国連外交の推進を掲げ,国連の活動に積極的に参加,協力するとともに,軍縮委員会を中心に進められている諸活動にも参画しているが,これらはすべて,諸国民との協力によつて平和の維持,緊張の緩和を図ろうとの念願と決意に基づくものである。幸いにしてわが国は,1970年三たび国連の安全保障理事会に選出されたが,この機会にいつそうの努力を傾けて,世界平和の維持と紛争の平和的解決のために貢献する決意である。
しかしながら成立後4半世紀を経た国連が,世界政治の現実とやや乖離しつつあるやにうかがわれ,重大な国際的危機に際して有効に対処する能力に欠ける面のあることも事実である。わが国はこのような国連のあり方を,世界の現実により即応したものに改め,その機能の拡充と活動の強化を図る必要がある。このような見地から,わが国は国連のあり方の再検討の必要を強調し,国連憲章の若干の改訂を含む幾つかの具体的示唆をも行つて来たのであるが,このような気運が世界各国の賛同を得て,いつそうの盛り上りを示すことを希望している。
わが国は1969年以降,ジュネーヴの軍縮委員会に参加しているが,同委員会や国連における軍縮討議等を通じて,国際の平和と安全に寄与することを念願としている。またわが国は,1970年2月,核兵器不拡散条約に署名したが今後ともあらゆる機会をとらえて核兵器国に対し,核軍縮の誠実な履行を強く要請して行く所存である。
軍縮や軍備管理の努力はもとよりのことながら,これと並んで世界各国の軍備競争がもたらすべき経済的,社会的影響に留意し,人的,物的資源の浪費を回避して各国の民生の向上に振向ける問題に取組むこともまた,平和に資するゆえんである。この点はまた,平和に徹することによつて今日の高度経済成長を達成し得たわが国として,特に世界に強く訴え得るところでもある。