-国際文化交流の現状-
第2節 国際文化交流の現状
わが国の経済力の充実および各般の国際活動の活発化が顕著となるにしたがい,国際文化活動の重要性が広く認識されるにいたっている。また近代日本の形成や,戦後の経済復興の事情を学ぼうとする傾向が主として発展途上国に強まりつつあり,他方,欧米先進国においては,わが国伝統文化の洗練された異質性に対する根強い興味が持たれ,こうした素地に立って,日本研究およびそのための日本語学習に対する意欲が多くの国の国民の間で増大している。
アジア諸国においては国家育成と経済開発のために教育開発と学術振興との重要性に対する認識が高まり,これに対するわが国の資金的,人的協力が強く望まれている。
かかる中で国際間の相互理解と親善を増進するための活動が,学生・青少年の交流,姉妹都市提携,スポーツ交流,テレビ番組の交換等広範囲の分野において活発化している。
(1) 文化協定の締結と文化混合委員会の開催
(あ) アフガニスタンとの文化協定の署名
1968年9月以来東京において本文化協定交渉を行なった結果,アフガニスタン国王の来日の機会に,1969年4月9日愛知外務大臣とタビビ在日アフガニスタン大使との間で協定の署名が行なわれた。
本協定は,前文,末文のほか本文11条からなり,文化,教育,学術,スポーツの各分野における両国間の交流を奨励し,その促進のため相互に便宜を供与することを規定している。
アフガニスタンとの間には,従来から国費留学生の受入れ,調査隊,登山隊の派遣等の文化交流が行なわれてきた。
(い) 日英文化混合委員会の開催
(イ) 東 京
日英文化協定に基づく第5回混合委員会は1969年9月16日外務省で開かれ,第4回委員会以後の両国間の文化交流の実績を検討するとともに,大学組織,語学教育,教授交換,両国間の演劇,音楽の交換および展示会の交換開催ならびに両国間の理解増進問題について討議し,両国間の文化教育交流活動をいっそう拡大することに意見の一致をみた。
(ロ) ロンドン
ロンドンにおける第6回混合委員会は,1969年10月15日に開かれ,第5回委員会以後の両国間の文化交流の実績を検討するとともに,双方は,東京における英国週間および大阪万国博を楔機として,両国民全般の相互認識が高まっていることを認め,今後とも文化活動を進めることの必要を確認した。
(う) 日本メキシコ文化委員会の開催
日本メキシコ文化協定に基く第4回文化委員会は,1970年2月16日から19日まで外務省で開かれ,協定成立以来の両国間の文化交流の実績を検討したのち,学生,教授,研究者,技術者の交流等の交流計画について討議が行なうとともに,メキシコに対する日本の技術協力(特に海洋開発,気象学,電子工学,電気通信等)およびメキシコから日本に対する博物館学等の協力について特別の関心が示された。
(2) 日米文化教育関係
(あ) 第1回日米文化教育協力合同委員会の開催
(イ)1968年4月ワシントンにおいて開かれた日米文化教育会議の最終コミニユケにおける勧告に基き,1968年11月牛場外務事務次官とジョンソン在日米大使との間に交換された交換公文により,日米文化教育協力合同委員会の設置が合意された。同委員会は,日米文化教育関係に関し継続的に検討し,勧告を行なうことを任務とし,それぞれ12名の委員からなる日米双方のパネルからなっている。
(ロ)本件合同委員会の第1回会合は1969年7月14日から16日までホノルルで日本側パネルから森戸委員長,米側パネルからジョン・ホール委員を共同議長として,両国それぞれ議長を含め7名の委員および委員代理が参加して開かれ,日米教育交換計画,人文,社会科学の共同研究,教育に関するセミナー開催および1970年に開かれる第5回日米文化教育会議について討議し,勧告を行なった。
(い) 第5回日米文化教育会議の開催
本件会議は,1970年3月18日から23日まで東京で開かれ,日本側森戸辰男日本育英会会長を始めとする15名の代表,米国側シャイブリー・ハーバード大学教授を始めとする12名の代表および3名の代表代理が出席して開かれ,最終コミュニケにおいて教育交換の拡大計画に関する諸問題および両国民の相互理解の増進に関する諸問題について,引続いて討議を行なうこと等の勧告を行なった。(第3部資料参照)
(3) アジアとの文化教育協力関係
(あ) アジア太平洋地域文化社会センター
1968年10月26日に発足したアジア太平洋地域文化社会センターは,1969年7月から第2年度にはいり,本格的事業活動を開始した。同センターは,69年4月-70年3月の間に,加盟国間の理解増進をはかるための教材作成に関するセミナーの開催(70年3月,台北),各加盟国の若い著述家,学者に対する他の加盟国への研究旅行に対するフェローシップの供与等の事業を行なった。東京においては,外務省のあっせんの下に,69年10月,同センターの設立1周年を記念して加盟各国からの出品を得て「アジア太平洋地域国際図書展」を開催した。
(い) 東南アジア文部大臣機構への協力
1965年11月にバンコックで開催され東南アジア文部大臣会議は,その後憲章を採択し(68年12月に発効),「大臣機構」として体制を整えるとともに,暫定期間を経て70年7月より本格的に事業を開始することとなっている。加盟国は,ラオス,マレイシア,フィリピン,シンガポール,タイ,ヴィエトナム,インドネシアの7ヵ国で,事務局はバンコックに置かれており,同機構の地域的事業として,既に英語教育センター(所在地シンガポール),理科数学教育センター(マレイシア,ペナン),農業研究センター(フィリピン,ロスバニョス),熱帯医学公衆衛生計画(バンコックの中央調整理事会のほかに,各加盟国にセンターの設立を計画している)及び熱帯生物学センター(インドネシア,ボゴール)が既に発足している。わが国は本機構の事業に対しては,要請に応じ,できる限りの協力を行なっている。
(1) 音楽,舞台芸術の海外公演
69年度において,外務省が,国際文化振興会の補助事業として行なったわが国舞台芸術の海外公演はつぎのとおりである。
(あ) 歌舞伎の米国公演
1969年9月10日から10月19日にかけて尾上梅幸丈,尾上松緑丈等の菊五郎劇団一行70名は,60年以来9年振りにニュー・ヨーク,シカゴ,ロス・アンジェルス,サン・フランシスコにおいて歌舞伎の公演を行なった。前回よりも米国民の対日理解が増進していたこともあり,各地において予想以上に大きな成功を収めた。
(い) オペラ「夕鶴」の中華民国,フィリピン公演
団伊久磨氏指揮のもとに,伊藤京子,宮本正,栗林義信,および佐々木行綱の各歌手よりなる一行は,フィリピン文化センター完成の記念文化祭に参加する(9月24,25,28日)とともに中華民国を訪問し(9月20,21日),日本の古い民話をオペラ化した「夕鶴」を公演した。
(2) 海外巡回展示会
外務省は,69年年度に,つぎのような巡回展示会を海外で開催した。
(あ) 日本教育展示会
スウェーデン 69年4月1日-5月15日 (文部省教育庁内展示室)
デンマーク 69年9月1日-20日 (文部省教材研究所,その後同研究所地方支部を巡回)
(い) 日本古美術展(文化庁協力)
チューリッヒ 69年8月29日-10月19日 (チューリッヒ美術館)
ケルン 69年11月14日-70年1月6日 (市立美術館)
(う) 日本現代工芸展
サン・フランシスコ 69年9月5日-20日 (レジョン・オブ・オナー美術館)
メキシコ・シティ 69年10月21日-11月23日 (国立近代美術館)
ドミニカ 70年1月25日-29日 (国立美術館)
コロンビア 70年2月13日-27日 (ルイス・アンベル・アランゴ図書館)
(え) 日本カラー写真展
ヴァンクーヴァー 69年8月16日-9月1日 (太平洋国民博参加)
サン・フランシスコ 69年9月6日-19日 (日本週間)
リオ・デ・ジャネイロ 69年12月16日-26日 (近代美術館)
レシフェ 70年1月20日-30日 (ポルトガル文学図書館付属講堂)
ベレーン 70年2月18日-23日 (パラー州立平和劇場付属アンジェ ルス画廊)
マナオス 70年3月1日-15日
サン・パウロ 70年4月1日-12日 (イビラプエラ公園内現代美術館)
(お) 日本現代建築写真展
サン・フランシスコ 69年9月5日-10月29日 (アジア財団本部ギャラリー)
モントリオール 69年11月10日-15日 (ロイヤル・バンク・ロビー)
エドモントン 69年12月1日-13日 (市立美術館)
ウィニペッグ 70年2月9日-20日 (マニトバ大学建築学部)
リジャイナ 70年3月25日-4月11日 (サスカチュワン大学美術館)
(3) 国際美術展参加への助成
第6回パリ青年ビエンナーレ 69年9月3日-11月2日
第10回サン・パウロ・ビエンナーレ 69年9月27日-12月30日
(4) 映画による日本紹介
(あ)外務省は従来から在外公館主催により劇映画及び文化映画の映画会を開催し,映画の上映による日本紹介を行なっている。在外公館を巡回した劇映画で,69年度において特に好評であったのは,「黒部の太陽」,「台風とざくろ」,「風林火山」,「日も月も」,「アンデルセン物語」(動画),「長靴をはいた猫」(動画)で,文化映画では「くらしを描く」,「地震予知への道),「日比谷276米」であった。
(い)このほか69年度においては,ソ連における恒例の日本映画祭をはじめ,数日にわたり,日本映画数本を上映する日本映画週間の催しが幾つかの都市で行なわれた。
○ソ連(モスクワ,レニングラード及びエレバン) 69年5月,ナホトカ 同9月
○サン・フランシスコ 69年9月 (日本週間への参加事業)
○インド(ニュー・デリー,カルカタ,ボンベイ及びマドラス) 69年7-8月及び9月の2回
○シリア(ダマスカス) 70年3月
(う) 国際映画祭への参加助成
他方外務省は,日本映画の国際映画祭への参加も助成しており,69年度においてこれを行なったものはつぎのとおりである。
(イ) 劇 映 画
シラズ(イラン)芸術祭 (69年8月-9月)「千羽鶴」
第2回プノンペン国際映画祭 (69年11月)「日も月も」(撮影賞授賞)
第4回イラン国際児童映画祭 (69年10月-11月)「アンデルセン物語」
第4回インド国際映画祭 (69年12月)「黒部の太陽」
(ロ) 短編映画
第6回国際科学映画祭 (69年9月,アルゼンティン)「地震予知への道」(銀賞受賞)
第6回イラン国際教育映画祭 (69年8月-9月)「竜門の人々」他
第1回国際科学映画祭 (69年9月,ブラジル)「地震予知への道」(Fretz Feigl賞受賞)
第8回国際児童映画祭 (69年9月-10月,アルゼンティン)「雷鳥」(優秀賞受賞)
第11回バルセロナ国際映画祭 (69年10月)「G線上の悲劇」(特別賞)「部屋」(貴婦人像トロフィー」(いずれも久里洋二作品)
第2回プノンペン国際映画祭(69年11月) 「花と日本人」(大賞受賞)
第4回インド国際映画祭 (69年12月)「竜門の人々」
第1回国際航空観光映画祭 (69年12月,フィリピン)「花と日本人」(第1位に入賞)
(5) 図 書
(あ)外務省は,69年度において出版文化国際交流会によるつぎの事業に協力した。
(イ) 国際図書展への参加
○ユーゴースラヴィア (69年9月19日-24日)
○フラウ〃フルト (69年10月8日-13日)
(ロ) 日本図書展の開催
○ヴァンクーヴァー 69年8月16日-9月1日 (太平洋国民博への参加事業)
○サン・フランシスコ 69年9月5日-16日 (日本週間への参加事業,日本貿易文化センター紀伊国屋書店)
○ロス・アンジェルス 69年10月20日-29日 (カリフォルニア大学研究図書館及び東洋図書館)
○ニュー・ヨーク 70年3月16日より2週間(リゾリ書店)
この機会に同地において,日本文学の翻訳に関するシンポジウムがペンシルヴァニア大学のソンダース教授司会の下に開かれた。
(ハ) アジア太平洋地域国際図書展 (69年10月22日-26日,東京,丸善)本図書展には豪州(145点),中華民国(71点),韓国(298点),マレイシア(89点),ニュー・ジーランド(125点),フィリピン(115点),タイ(102点),ヴィエトナム(185点),日本(730点)の各国から,合計1860点の図書が出品された。
(い) 図書寄贈
(イ)外務省は,在外公館を通じ諸外国の大学,図書館等に日本関係図書の寄贈を行なっているが,69年度にこれを行なった主な寄贈はつぎのとおりである。
ウィーン市立音楽図書館 日本音楽関係書(4点)
リオデジャネイロ大学美術学部 日本陶芸関係書(5点)
メキシコ大学建築学部 日本建築関係書(6点)
アジア太平洋地域文化社会センター(ソウル) 日本関係書(280点)
カンボディア王立大学 日本地理関係書(19点)
南阿大学法学部図書館(プレトリア) 日本関係書(12点)
チュニス大学(チュニジア) 日本関係書(136冊)
クウエイト大学 日本関係書(65冊)
(ロ)また外務省は,秀れた日本紹介図書を選定して,在外公館を通じ各国の要人,図書館,大学等に贈呈しているが,69年度に贈呈した図書の例はつぎのとおりである。
「宮殿」,毎日新聞社発刊
「日本経済興隆史」(The Rise and Development of Japan's Economy)(英文)高橋亀吉著
(う) 外国文日本紹介図書の刊行助成
外務省は,69年度中に,国際文化振興会によるつぎの図書の刊行を助成した。
(i) A History of Pre-Meiji Commerce of Japan, TOYODA Takeshi.
(ii) Synopsis of Contemporary Japanese Literature,II,1936-1955
(6) 海外文化行事への参加
(あ) 69年度モントリオール「人とその世界」博(69年7月10日-9月7日)
国際文化振興会に対する補助事業として日本館を運営し,観光振興会,万国博協会等と協力して「リニアー・モーター列車」の模型,大阪万国博関係等の展示を行なった。
(い) ヴァンクーバー太平洋国民博覧会(69年8月16日-9月1日)
観光振興会等と協力して参加し,外務省は,「カラー写真展」,「日本図書展」及び「日本児童画展」を開催した。
(う) サン・フランシスコ日本週間
サン・フランシスコにおいて,69年9月5日から同月20日までの16日間「日本人米本土移住百年記念日本週間」の行事が行なわれた。この行事は,日本人米本土移住百周年の機会に日米友好親善の一層の強化を図るため企画されたもので,ホードレー・アメリカ銀行副頭取を委員長とする日本週間組織委員会が中心となって運営されたもので,外務省は,日本側協力団体の調整を行なうとともに,各種の事業をもってこれに参加したが,日本側の参加事業はつぎのとおりであった。
(イ)岸信介元総理(国際文化振興会会長,日米協会会長)の訪問(9月11日から14日まで)
(ロ)護衛艦「あまつかぜ」の親善訪問(月9日5から12日まで)
(ハ)川端康成氏文化講演会(9月13日,メーソニックホール)(外務省派遣)
(ニ)1970年代における日米関係に関するセミナー(9月11日,シエラトン・パレス・ホテル)平沢和重(ジャパン・タイムズ主幹),松平一郎(東京銀行副頭取),市村真一(京都大学東南アジア研究所長)の各氏が出席(外務省斡旋)
(ホ)日本映画祭(市川昆作品特集)(9月6日~13日,メーソニック・ホール)(外務省主催,日本フィルム・ライブラリー協議会及び日本航空協力)
(ヘ)展示会
I 日本産業見本市(9月10日~20日メーソニック・ホール)(ジエトロ主催)
II 現代日本紹介写真展(9月5日~20日ユニオン・スクエアー)(外務省主催)
III 日本カラー写真展(9月6日~19日,日本文化貿易センター)(外務省主催,日本写真協会協力)
IV 現代日本工芸展(9月5日~20日,レジョン・オブ・オーナー美術館)(外務省主催,現代工芸美術家協会協力)
V 現代日本建築写真展(9月5日~20日,ゴールデンゲート・ウエイ・センター)(外務省主催)
VI 大阪万国博展(9月5日~20日,ユニオン・スクエアー)(万博協会主催)
VII 日本観光写真展(9月5日~20日,ユニオン・スクエアー)(国際観光振興会主催)
VIII 国鉄新幹線写真展(9月5日~20日,ユニオン・スクエアー)(国鉄主催)
IX 日本図書展(9月6日~19日,日本文化貿易センター)(出版文化国際交流会主催,外務省協力)
(ト)演劇等の公演
I 歌舞伎公演(10月9日-19日,カラン劇場)(外務省,国際文化振興会主催)
II 宮城喜代子他2名による箏曲演奏(9月6日,メーソニック・ホール)(外務省派遣)
III 日本民族舞踊公演(9月15日,ゲラルデリ・スクエアー劇場,日本舞踊研究会須藤武子さん他3名)(外務省派遣)
IV 茶の湯点前披露
(a) 表千家 汾陽昌三氏他2名(9月6日金門公園ド・ヤング博物館)
(b) 裏千家 塩月弥栄子氏,川島宗敏氏他3名(9月13日,金門公園内ホール・オブ・フラワー)
V 生花実演池坊家元他1名(9月5日,金門公園内ホール・オブ・フラワー)
VI 訪米親善演武団一行31名武道実演(9月6日,ユニオン・スクエアー)(外務省斡旋)
VII 花火大会(9月19日,サンフランシスコ湾)(ジェトロ主催)
(チ)訪 問
I 準ミス日本・ミス・フォトジェニツク富田恵子,ミス着物北島イヨさんの訪問(9月10日-16日)(日本ビューティ・コングレス協会派遣,日本航空協力)
II 万博キャラバンの訪問(9月5日-7日)(万国博協会派遣)
(リ)招 待
日本語弁論大会優勝者に対する日本招待(日本航空招集)
(ヌ)寄 贈
I 日本人米本土移住100年記念碑(経団連寄贈)
II 大阪城模型(大阪市より姉妹都市サンフランシスコ市に寄贈,ユニオン・スクエアー展示終了後は日本文化貿易センター内に永久的に展示される。)
III 旗差物(堺,福岡,豊中,島田,岡山,明石,秩父,清水及び甲府の9市寄贈)ユニオン・スクエアーにおける展示終了後は,各相手姉妹都市(サンフランシスコ周辺所在)へ寄贈
IV 日本語弁論大会に対する外務大臣杯寄贈
(え) パリ草花展への参加
外務省は69年5月より10月まで開かれたパリ草花展(万国博条約に基づく特別博)への日本園芸界による参加を勧奨助成し,盆栽60点,花菖蒲1500株,つつじ2000株,バラ200株等及び錦鯉30匹を出品した結果,同展において,わが国は第4位に入賞し,国際園芸展において初の入賞を記録した。
(7) 在外公館企画文化事業
昨年に引き続き,各地の在外公館は,講演会,音楽会,展示会を開催し,あるいは地元における文化行事に参加したが,その主なものとしては,在英大使館の主催した「川端康成展」,在メキシコ大使館の主催した「スク ール・デザイン作品展」等があげられる。
(8) 日本文化会館の運営
(1) 在ローマ日本文化会館の運営
1962年に開館した本文化会館は,日本語講座,講演会,座談会,映画会,音楽会,展覧会等の開催,図書館の運営及び出版等の文化活動を行なっている。
(2) 在ケルン日本文化会館の開館
外務省はかねてから,ドイツのケルン市の提供する土地に日本文化会館の建物を建設中であったが,これが完成したので,69年9月2日岸信介元総理の出席を得て,同会館の開館式を行なった。本会館は在ローマ文化会館と同様の活動をドイツにおいて開始した。
(9) 文化人の海外派遣
わが国の芸術,学術,思想,スポーツ等を紹介するため,引続いて文化人,学者,柔剣道師範の派遣を行なったが,69年度において派遣した実績は別表1のとおりである。
(10) 外国文化人等の招へい
外国の文化人,学者をわが国に招へいして,親しくわが国の事情を認識させ,わが国関係者と意見交換の機会を与えることを目的として69年度中に日本に招待した外国文化人の実績は別表2のとおりである。
(11) 国内における国際文化事業
(あ)外務省は,国際文化振興会が行なっっている国内におけるつぎの事業を助成している。
(イ)在日外国人を対象とした講演会,日本伝統芸能鑑賞会等の開催
(ロ)来日外国文化人に対する便宜供与
(ハ)日本文化に関する図書館の運営
(い)外務省は,国際文化の交流にとって有意義と考えられる民間団体主催の行事に対しては,後援名儀を与えているが,69年度において与えたものは別表17のとおりである。
(1) 国際学友会による事業
国際学友会は,外国人留学生に対する日本語指導,大学進学準備及び私費留学生に対する宿舎の提供を行なっている。69年度においては,東京本部及び関西(大阪),京都の2支部で,日本語学校268名,進学指導190名,宿舎受入者数312名の留学生に指導援助を行なった。
(2) パリ大学都市日本館
外務省は,フランス留学中の日本人学生に対する宿舎の提供を主たる任務としている本日本館に対し,館長の推薦を行なっているほか,建物の内部修理費,若干の備品費,文化活動費等に対し援助を行なっている。
(3) 外国人留学生等の来日
わが国の国費留学生制度(文部省主管)により採用した外国人留学生の実績は別表3のとおりであり,また科学技術庁が招へいした外国人研究者の実績は別表4のとおりである。
(4) 日米教育交換計画(フルブライト計画)
1969年度における本計画に基づく,両国間学生,教授,研究員の交換実績は別表5のとおりである。
(5) 日本人学生の海外留学
69年度に,外国政府又は準政府機関の奨学金を受けて,海外へ出発した者の数は別表6のとおりである。
(6) 日本研究講座寄贈
外務省は,東南アジア諸国の大学における日本研究を助成するため,原則として教授1名及び講師2名よりなる日本研究講座を寄贈しているが,これまで寄贈した6講座の現況は別表7のとおりである。
(7) 日本語普及事業
外務省が,69年度に海外における日本語普及のために講師謝金を支給し,あるいは教材を送付している施設の所在国は,それぞれ別表8及び別表9のとおりである。
また,外務省は69年より在外公館又は外国における団体の日本語教育機関に,日本語教師を派遣することとなったが,これら派遣先の日本語教育機関は別表10のとおりである。
(8) 日ソ学者研究員の交流
1965年以降,わが国はソ連との間に,毎年政府間取極により,相互主義に基く学者,研究員の交流を行なっているが,69年に交換した実績は別表11のとおりである。
(9) 海外学術調査隊に対する便宜供与
69年度の本件に関する実績は,別表12のとおりである。
(1) 青少年交流
外務省は,わが国と外国との間の青少年交流に対し,便宜を供与しているが,69年度に,総理府,地方公共団体,民間団体により行なわれた青少年交流の実績は,別表13及び別表14のとおりである。
(2) スポーツ交流
69年度に外務省が便宜供与をした海外へのスポーツ選手の派遣実績は,別表15のとおりである。
(3) 海外への登山隊の派遣
69年度に外務省が便宜供与をした海外への登山隊の派遣は別表16のとおりである。
(4) 姉妹都市の提携
1955年12月長崎市と米国ミネソタ州のセントポールが姉妹都市の提携を行なって以来,わが国における諸外国との姉妹都市提携運動が盛んになってきたが,1970年3月現在の提携の数は139で,相手国は22ヵ国に及んでいる。このうち82は米国の都市との提携で,特にカリフォルニア州,ワシントン州,アラスカ州等同国西部の諸都市との提携が多い。1969年4月-1970年3月の間に新たに提携関係を樹立したものは,つぎのとおりである。
(5) 社団法人生花インターナショナル
1956年8月東京において創立され,生花の紹介を通じて日本と外国との間に理解と親善を深めることを目的として活動してきた生花インターナショナルに対し,外務省は69年7月社団法人の設立を許可した。同会は,法人設立当時米国を主として世界の27ヵ国140都市に支部を持ち,会員総数約9,000名を数え,活発な活動をしている。
1. カンボジア王立美術大学総長 ハング・トゥング・ハック博士
1969.5.24~6.1
2. ブルガリア最高医学研究所主任研究員 ウラディミール・アンドレーフ博士
1969.8.11~8.23
3. 南阿連邦共和国ケープタウン大学助教授 クリスティアン・バーナード博士
1969.9.22~9.29
4. ドイツ演劇アカデミー会員 ビクター・デ・コヴァー氏
1969.10.24~10.31
5. アルゼンチン国立東洋博物館長 マリア・エリーセット女史
1970.1.10~1.18
6. アラブ連合文化省ソン・リュミエール担当局長 ファウド・オラビー氏
1970.1.23~1.29
7. 韓国ソウル大学総長 崔文煥博士
1970.1.8.~1.17
8. 韓国ソウル大学法学部 李成寿助教授
1970.1.8.~1.17
9. イタリア・ローマ大学教授 エドアルド・アマルディー博士
1970.1.15~1.25
10. インドネシア社会評論家 モクタル・ルビス氏
1970.3.10~3.22
11. フィリピン大学アジア研究所長 サントス・クユガン博士
1970.3.14~3.24 戻る
科学技術庁招へい外国人研究者(69年度)アメリカ(1名),フランス(1名),オーストラリア(1名),イギリス(1名),ドイツ(1名),オランダ(1名)。 戻る
1969年度
インド(1名),トルコ(1名),オーストラリア(2名),オーストリア(4名),ベルギー(4名),デンマーク(2名),フランス(119名),ドイツ(27名),イタリア(14名),スウェーデン(1名),スイス(3名),イギリス(16名),ギリシャ(1名),ハンガリー(1名),アイルランド(1名),フィンランド(1名),ブルガリア(1名),イスラエル(2名),ユーゴスラヴィア(1名),オランダ(2名),パキスタン(1名),スペイン(13名),大韓民国(2名) 戻る
1. わが国からソ連へ派遣した学者,研究員
学 者(短期2ヵ月) 5名 研究員(長期10ヵ月) 8名
2. ソ連からわが国へ派遣された学者,研究員
学 者(短期2ヵ月) 5名 研究員(長期10ヵ月) 10名 戻る
別表12 学術調査隊の派遣 |
別表13 わが国の青年海外派遣 |
別表14 外国青少年の来日 |
別表15 海外へのスポーツ選手派遣実績 |
別表16 海外への登山隊の派遣実績 |
別表17 国内で開催された国際的文化行事に対する後援名義付与 |