-国連の財政,行政問題-

 

第6節 国連の財政,行政問題

 

 

1.1970年度通常予算の決定

 

 事務総長は,第24回総会開会に先だち支出164,123,200ドル,収入28,742,000ドルの見積りを提出していたが,会期中追加見積りを考慮した結果,総会は支出168,420,000ドル(対前年度比約9%増)収入29,124,125ドルを承認した。なお,わが国の国連経費分担率3,78%(この率は安全保障理事会の常任理事国5ヵ国の次に位するものである)に従い,わが国の1970年度分担分は5,316,227ドルである。

 

2.人事問題

 

 国連事務局職員は,各加盟国の分担率に応じて割り当てられる建前となっているが,日本人職員数(専門職)は,1969年8月末現在,日本に対して割当てられているいわゆる「望ましい範囲」48~67人を大きく下まわる36人にとどまっており,特に高級職員の不足が著しい。すなわち,部長クラス以上のD級,次長補,次長は国連全体で219名いるにかかわらず,本年初現在日本人は1名にすぎない。事務局職員の派遣状態は国連における各加盟国の発言力の大きさに大きく響いてくるだけに,職員を過剰に派遣している国からの抵抗も大きいが,将来日本が国連において確固たる地歩を保つためにも,有能な日本人職員をできるだけ多く派遣することが望まれる。

 

3.国連の諸事業に対する財政協力

 

 国連はさきに述べたUNDPをはじめ,FAOとの協力によるWFP,児童救済を目的とするUNICEF,難民救済事業UNRWA,UNHCRなど多岐 にわたる経済,社会,人権面における事業を各国からの拠出金に基づいて行なっており,わが国もこれらの事業に対し相当額の拠出金を支払っているが,まだまだ主要国の拠出に比べると小額であり,分担金の上昇に伴って拠出金を増額していくことが必要であろう。

 

 

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